文春オンライン

genre : ニュース, 社会

「そういうもんですよ、投資って」

 詐欺にあったのではないかと不安になった穂野香さんは、交際していた男性と共に入金を証明する書類を持ってYのもとを訪れた。穂野香さんが返金を願い出たが、Yはそれを拒否する。同席していた恋人が「(投資話が)不透明過ぎる」と詰め寄ったが、Yとその仲間はのらりくらりとかわすばかり。現場の録音データが残っている。

交際男性 それやったらこいつ(穂野香さん)の150万返して欲しいんですよ。

 

……なんで? ヘへへ(笑)

 

交際男性 僕からしたら止めたいと思うんですよ。そんな不透明なところやらんといてほしいなと。

 Yらは、投資は自己責任だと繰り返し、責任はすべて穂野香さんにあると捲し立てる。

「それ(投資)は個人の責任でやっているわけなんで」

 

「その覚悟でやってないんやったらやらんかったらいいわけですし」

 

「そういうもんですよ、投資って」

 穂野香さんの声音は終始落ち着いていた。Yらと恋人とのやりとりで緊迫した雰囲気をなだめる様子さえあった。最後に「ごめんな、しょうもない話に付き合わせてしまって。ありがとうございました。ごめんね」とYを気遣うような言葉まで残し、穂野香さんと男性はその場を去った。

Yは高級車を愛車にしていた(遺族提供)

 穂野香さんが命を絶ったのは、このやり取りの翌日のことだった。佐永子さんが続ける。

「亡くなった日、私は娘と一緒に警察に相談に行く予定でしたが、私は午前中だけ仕事に行ってしまって……。帰ってきたら娘はいませんでした。当時から後悔ばっかりです。なんで1人にして、置いていってしまったんだろうと……。Oが友達だったから信用してしまったというのも大きいと思います。娘は借金もありますが、友達に騙されたというところでもかなり苦しんでいたんじゃないかと思うんです。友達だと思っていたけれども、Yとグルになって自分を騙したんじゃないかと、段々悪いほうに捉えていったのかなと思います」

提訴の記者会見が行われた

互いに責任をなすりつけ合うOとY

 佐永子さんの刑事告発を受けた警察はOとYを取調べる。2人の供述調書には、醜く互いに責任をなすりつけ合う様が残っている。

 Oの供述調書

 

《Y君に対して川上さんが自殺したことを伝えたのですが特に反省することも無く、今でもインスタグラムやツイッターに投資メンバーを募り資金を集めているので、Y君に反省させるためにも厳しく処罰してください》

oの供述書

 Yの供述調書

 

《私だけでなくOも勧誘をしているので、Oも一緒に償うべきだと思います》

Yの供述書

 その後、Yは金融商品取引法違反で略式起訴された。詐欺罪での立件はなされていない。刑事責任は70万円の罰金で済んでいる。Oは穂野香さんが亡くなって1カ月後、2度ほど謝罪に佐永子さんのもとを訪れたというが、その後は弁護士を立て、連絡を絶った。佐永子さんが、穂野香さんの優しい人柄を振り返る。