関西の地で堂々と振る舞えるかどうかは、「新快速」という概念を理解しているか否かにかかっているといっていい。
学生時代に大阪で友人と会い、「このあとは?」と聞かれて「JRで」と答えたら、「ああ、新快速ね」などと言われて面食らった。新快速というのはいわば単なる列車種別のひとつに過ぎず、たとえば東京だったら「中央特快」みたいなものだ。なのに、京阪神間の移動においては阪急電車などと同じような存在として人口に膾炙している。「新快速」は、なかなかバツグンの存在感を誇っているのだ。
それもムリもない話で、新快速はその名に違わずとにかく速い。例えば大阪駅から京都駅までの間に停まる駅はふたつだけ。所要時間はたったの30分だ。
たったの、というなら比較対象が必要になるが、ライバルの阪急電車の特急は大阪梅田~京都河原町間を40分ちょっとかけて走る。その差はおおよそ15分。1分でも惜しい朝の通勤時間帯など、バカにならない15分である。
新快速がわざわざ停車…「高槻」には何がある?
そんな天下に名を成す新快速、大阪と京都の間で事実上唯一といっていい停車駅が、高槻駅だ(新大阪駅も停まりますが、大阪駅のお隣で兄弟分みたいなものなので割愛します)。高槻駅は大阪駅からも京都駅からも約15分。つまり、大阪・京都という二大都市のちょうど中間に位置する駅というわけだ。
そんな高槻駅、新快速が停まるくらいだからお客も多いし、たくさんの人が暮らしているのだろうということはわかる。ただ、それ以上に多くの人が新快速で高槻駅をスルーする。そうなれば気になってくるのが、いったいどんな駅なのか、ということだ。
「高槻」にやってきた
そういうわけで高槻駅にやってきた。さすがにホームにもコンコースにも人が溢れている。おおよそ東西に線路が通っているから、北口と南口がある。そのどちらに降りても、駅前は商業施設だらけだ。
北口にはアル・プラザ高槻や阪急百貨店、ミューズ高槻などがあり、南口はペデストリアンデッキを挟んで駅の真向かいに松坂屋。これだけ大きな商業施設が駅前にまとまっているとは、まさに新快速停車駅の面目躍如といったところだ。
さらに北口には、商業施設の周縁部に巨大なタワーマンションが建っている。商業施設の間を抜けてくれば駅の改札までほとんど雨に濡れずにアクセスできるような、そういうマンションだ。大阪にも京都にもたったの15分で、駅と家の間にはなんでも揃うし楽しめる商業施設があるとなれば、もうそれはそれは便利な町、高槻なのである。
……と、これだけで終わってしまっては、高槻の町の本質とはかけ離れたままだ。もう少し、高槻の駅前を歩いてみることにしよう。