「3時間ほどの現場で、『たーのしい!』といったい何回言ったでしょうかね。終始機嫌もよく、最後には『こういう機会をいただけて本当にありがたいです』と自分より若いスタッフにも頭を下げていきました。正直、広末さんてこんなに丁寧な明るいひとだったんだ、と驚きました」
そう話すのは、広末涼子(42)と最近仕事をした出版関係者だ。
高知で生まれ育った活発な女の子が、中学生のときニキビ治療薬「クレアラシル」のCMで全国デビューしてから早27年。広末涼子は今年、俳優業だけにとどまらずに多方面でものすごく忙しかった。
4月には、初のエッセイ集「ヒロスエの思考地図」(宝島社)を刊行。ニーチェやゲーテ、アリストテレスなどの“賢人”たちの言葉をヒントにこれまでの人生や日々の生活を綴ったもので、不惑を超えたヒロスエのどこか達観した文章が並んでいる。
5月には「第14回ベストマザー賞2022」の芸能部門を受賞。「こんなにいただいて嬉しい賞はありません!」と受賞コメントで喜びをあらわにした。7月期にはドラマ「ユニコーンに乗って」(TBS系)に主人公の憧れの女性経営者役で登場し、CMの契約も後を絶たない。
これまで“いろいろあった”広末に最適の役
「なんといっても、映画『あちらにいる鬼』の公開を11月11日に控えています。
瀬戸内寂聴さんと、作家・井上光晴さんの不倫関係をもとにしたこの同名原作は、光晴さんの娘であり直木賞作家の井上荒野さんの手によるものです。寂聴さんを寺島しのぶさん、光晴さんを豊川悦司さん、そして光晴さんの妻を演じるのが広末さん。
昨年亡くなったばかりの寂聴さんのこの『不倫』については、ご本人も隠すことがなかったために非常に有名な話です。その家族の書いた小説の映画化ということで、半年前の映画撮影中から注目されています。先日の東京国際映画祭でのレッドカーペットには寺島さんと一緒に和装で登場し、カメラのフラッシュをひときわ浴びていました」(芸能デスク)
夫の女性関係に激しく心を揺さぶられつつそれでも添い遂げた妻という難しい役どころだったが、ここまでの人生に“いろいろあった”広末には適役だったかもしれない。