文春オンライン

2022/11/14

「合同結婚式」への参加に必要な過酷なノルマ

 1992年8月25日に韓国のオリンピック・スタジアムで行われた、3万組にもおよぶ合同結婚式は、テレビなどでも大きく取り上げられました。

 ここでは、文鮮明教祖によって相手を決められた男女が結婚式を挙げますが、私もその場にいました。それまで一度も会ったことがない日本人女性と韓国で初めて会いました。そうしたカップルが約3万組いるのですが、誰ひとりとして、結びつけられた相手を拒否することなく、合同結婚式に参加します。その異質な光景に、目を奪われた方もいると思います。

合同結婚式の様子 ©文藝春秋

 合同結婚式には、何もせずに参加できるわけではありません。すでに述べたように、参加するためには、信者としての活動条件が必要です。

 伝道における3人の信者獲得と、経済活動(月ごとに与えられたノルマの達成)は必須事項です。しかし、それだけではありません。7日間の断食も必要になります。これは成約断食といって、祝福(合同結婚式)を受けるための条件となっています。

 私自身も、前年の1991年9月に、複数の信者とともに成約断食を行いました。しかし、ただ一日中、寝ていていいわけではありません。「普段と変わりなく、伝道、経済の活動をしなければならない」とされていました。だから、水だけを飲み、何も食べずにフラフラな状況でも街頭に立って、人々に声をかけ続けました。あまりのつらさに、「このまま路上で倒れて死んでしまうかもしれない」とさえ思うこともありました。

 私は体力的に強かったので大丈夫でしたが、女性のなかには肉体的な限界が来て、終盤に寝込む人もいました。上の人からは、「過去に7日間の断食中に亡くなった人がいる」と聞かされており、命がけの行為でした。私の周囲では亡くなった方はおらず、本当に不幸中の幸いであったと思います。

 さらに、参加するにあたっては、140万円の感謝献金も必要です。そのお金を工面するために、みんな奔走します。当時は、こうして合同結婚式の参加資格を得ることができたのです。