千葉県の北部にある印西市という街が今、注目を集めている。特に最近この街の名前がメディアに頻繁に登場するようになったのが、2023年にITネットワークのガリバーであるグーグルがこの街に巨大なデータセンターを建設することになったことだ。

地震や水害被害に強い

 印西市を地図で眺めると、千葉県の北部にあって、北に利根川が流れ、南東部には印旛沼、北西部には手賀沼があり、一見して低地の湿地帯のようなイメージを持ちやすいのだが、実際は標高20mから30mの下総台地上にあり、関東ローム層を主体とする強固な岩盤層の上に位置する地盤の良いところである。

 データセンターとは、ITオンライン系の企業や金融機関の生命線ともいわれるサーバーやネットワーク機器を納めた施設であり、その性質上、地盤が強固で地震などの揺れに強く、水害などの被害から守られていることが立地するうえでの絶対的な条件になる。

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 印西市に目を付けたのは実はグーグルだけではなく、すでにアマゾンは市内にデータセンターを設置済み、また三菱UFJ銀行、みずほ銀行、東京海上日動火災保険、三井住友海上火災保険など多くの金融機関が事務処理センターを構えている。

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データの中継拠点として絶妙な立地

 地盤が強固というだけならば、他のエリアに候補地があってもよさそうなものだが、印西市が選ばれるのは、立地としての優位性にある。データセンターは巨大な施設であるだけに広い敷地に窓のない、まるで物流施設のような建物である。したがって地価の高い都市部に建てるのはそぐわない。また、データのやり取りに必要なケーブル線の敷設が必要だ。アマゾンやグーグルなどは、アメリカから太平洋を越えて日本まで海底ケーブルを引き込んでいるが、その陸揚げ地は茨城県である。茨城県で陸揚げされたケーブルはその後鉄道路線や高速道路沿いにケーブルを走らせてくるため、印西市は都心までのデータの中継拠点として絶妙な立地にあるのだ。