文春オンライン

「いよいよロシアの侵攻が始まったの」朝4時に爆音、スーパーには長蛇の列が…ウクライナ人少女が明かす“戦時下のリアル”

『ウクライナから来た少女 ズラータ、16歳の日記』より #1

genre : ライフ, 社会, 国際

背中から聞こえたお母さんの一言に背筋が凍りつく

 私自身は、まだ小学校に上がるか上がらない頃から絵を描くのが大好きで、コンクールなどで上位に入ることもたびたびあった。だから、中学校を卒業したあとは、美術の専門学校に進 んだ。今、そこの1年生だ。

 でも、そんなごく普通の平穏な毎日を送る私の日常に、ある日突然衝撃が走った。今日のことを、私は一生忘れないだろう。

 朝いつものように起きて部屋を出て、いつものようにダイニングに行くと、お母さんがすでに起きてテーブルについていた。

ADVERTISEMENT

「お母さん、おはよう。もう起きてたんだね」

 私は大好きなコーヒーを淹れようと、戸棚から自分のカップを出してキッチンの流しの前に立った。すると背中からお母さんのあの一言が聞こえたのだ。

「今朝早くね、爆音が聞こえたのよ。朝の4時頃」

 思わず振り返った。

いよいよ始まったロシアの侵攻 不安がどっと押し寄せる

「……爆音?」

「そうよ、爆音」

 寝起きでボーッとしていたせいか、そう言われても今ひとつピンと来ない。“爆音?”“何の爆音?”するとお母さんが続けてこう言った。

「爆撃の光景そのものは見ていないけどね、きっとどこかに爆弾が落ちたのだと思うのよ」

 えっ、それってどういうこと? まだその意味を測りかねていると

「いよいよ戦争が始まったんだと思うわ。ロシアの侵攻が始まったの」

 戦争? このウクライナで? ここドニプロで? 私はしばらく黙り込んでしまった。いよいよ始まってしまったのか。このところ、世の中が何となくよくない方向に行っていることは、ニュースをあまり見ない私でも知ってはいたことだった。でも現実に戦争が身近に迫ってきたと知ると、背筋が凍りつくような気がしてきた。あまりのショックに不安がどっと押し寄せてくる。私たちの暮らしはどうなってしまうのだろう。

関連記事