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 そんな被告人の姿を見て

裁判官「遊び呆けて冬になるとキリギリスは死ぬんだよね! あなたは趣味に走って、ご両親に迷惑をかけて」

被告人「もう誰も助けてくれません」

『アリとキリギリス』はストーリーが改変されて、キリギリスがアリに食糧をもらって次の年からマジメに働くという結末の改心バージョンもあるのですが、裁判官も被告人もアリが食糧を与えずにキリギリスは凍え死んだという本来のストーリーを前提に話しているようです。元々のオリジナルはこっちですからね。観劇が趣味の被告人にはフィクションをベースにアドバイスした方が伝わると思ったんでしょうね。これで被告人質問は終了です。

下された判決と「あなたは今、土俵際に足が掛かっている状況ですから」

 この後に検察官は常習的な犯行であるとして、懲役6月を求刑。弁護人は本件は金額も低く、前刑から時間も経っているとして執行猶予が相当だと弁論をしていました。そして、最終陳述。

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裁判官「これで審理を終わりにしますが、最後に言いたいことがあれば述べてください」

被告人「今回が3度目の正直と言いますか、生まれ変わりたいと思います」

 と述べ、今までのキリギリスとは違う生き方をしたいと述べて更生を誓っていました。

 判決は後日言い渡されるのかなと思いきや、裁判官が

裁判官「では、即決で判決を言い渡したいと思います。検察官、弁護人よろしいでしょうか?」

 と、即日判決です。

 結果は、懲役6月執行猶予2年。刑務所には行かずに社会の中でアリとなれ、といったところですかね。裁判官は主文に続けて判決理由を読み上げると

裁判官「真剣に職探ししないと、あなたも両親も困ることになりますよ。あなたは今、土俵際に足が掛かっている状況ですから」

「あなたは今、土俵際に足が掛かっている状況ですから」」と諭した裁判官 ©iStock.com

 と説諭をして閉廷でした。なんで相撲のチケットのダフ屋やってた人に「土俵際に足が掛かっている」なんてアドバイスをするのやら。上手いこと言いたい裁判官なのか。

 誰か劇作家がセリフを書いているかのような裁判でしたが、被告人が裁判官の言葉で目が覚めてなければ今頃大変なことになってるでしょうね。ダフ屋としては冬到来ですから。