1ページ目から読む
4/4ページ目

X氏は法廷で「自殺は予見できなかった」と責任を否定

 精神的に追い詰められ、A子さんは非業の死を遂げた。A子さんの母親は第一報を聞いて後悔の念で頭がいっぱいになったが、X氏に対しては「迷惑をかけて申し訳ない」と感じていた。A子さんの葬儀に参列したX氏が「僕がすべて悪いんです」と話した時も、違和感はあれど疑う気持ちまではなかったという。

 しかし後にX氏のクリニックでは診療報酬詐欺などの疑惑が持ち上がり、捜査の過程でX氏がA子さんに対して行っていた非道な振る舞いも徐々に明らかになっていった。

「A子が自殺するほど追い込まれながらも仕事を辞めなかったのは、X氏の“洗脳”のせいだったんです。X氏がA子に送った大量のLINEは見るのもおぞましい内容で、A子はその泥沼から抜けることができずに苦しんでいた。さらに一番許せないのは、A子が死んだ後もX氏が一切非を認めず、謝罪すらないことです」(A子さんの母親)

ADVERTISEMENT

鹿児島地裁 

 現在、A子さんの母親らは「A子の自殺はセクハラとパワハラが原因だった」としてX氏に慰謝料2200万円を求める民事訴訟を起こしている。10月26日には鹿児島地裁で第1回口頭弁論が行われたが、X氏は「自殺は予見できなかった」と自身には責任がないと主張している。

 X氏のクリニックで行われていた数々の不正と、A子さんら職員や患者に対する性的搾取の数々……。精神科医の闇は想像以上に深いものだった。 #2につづく。

その他の写真はこちらよりぜひご覧ください。