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上富良野町の映画、美馬市のドラマ…毎日放送グループ会社の地方創生ビジネス トラブル続出で相次ぎ中止に

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 国や地方自治体の地方創生を旗印にビジネスを手掛けている、MBSメディアホールディングス(MBSHD)のグループ会社・Zipangを巡り、地方自治体との映像制作でトラブルが相次ぎ、中止となっていることがわかった。北海道上富良野町、徳島県美馬市の担当者が「週刊文春」に認めた。Zipangは、来年3月末で会社が清算される予定。MBSHDは「Zipangが独立した経営判断のもと行なっている事業に関することですので、当社としてはコメントする立場にない」としている。

 MBSHDは、TBS系列の準キー局・毎日放送(大阪府)やMBSラジオなどを子会社に持つ認定放送持株会社。毎日放送は1959年に開局した関西の老舗放送局で、『痛快!明石家電視台』『ごぶごぶ』などのバラエティ番組、『華麗なる一族』『闇金ウシジマくん』など数々のヒットドラマを制作したことでも知られる。

 Zipangは2020年8月、MBSHDの子会社・MBSイノベーションドライブによって設立された会社。代表取締役にはMBSHDの吉廣貫一氏が就任、役員には毎日新聞社のA氏が就いていた。

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Zipangの吉廣氏

 同社が上富良野町と取り組んでいたのが、三浦綾子氏の小説『泥流地帯』の映画化だ。1926年、十勝岳の大噴火によって発生した泥流が、約30年かけて開拓された土地に流れ込む大災害が起こった。死者・行方不明者は144人、損壊建物は372棟に達した。三浦氏が描いたのは、被災地を若者たちが復興させていく物語だった。

映画『泥流地帯』プロジェクトは今も進行中(上富良野町SNSより)

 その小説を元に2017年、人口約1万人の上富良野町で映画化計画が持ち上がり、三浦氏の生誕100周年にあたる2022年中の公開を目指して、Zipangと制作を進めていた。

映画『泥流地帯』ののぼり旗

 しかし、上富良野町の担当者によれば、現在、映画制作がストップした状況に陥っているという。

 上富良野町の映画製作事業は以前、制作会社の倒産により頓挫しかけたが、2020年9月25日、「『泥流地帯』実写映画化等に関する連携協定」をZipangの間で結び、再スタートした経緯がある。協定は、Zipangが映画を制作して広域で劇場公開をし、地方創生を実現するという内容だ。