「美馬市でロケをするのは難しい」と本末転倒の発言も
「もともと美馬市ではドラマ作りなんて大それたことは考えていませんでした。しかし2021年5月、Zipangさんから『ドラマを作りませんか』と提案して頂いたことで、企画がスタートしました」
地方創生につながるとして、『僕らの食卓』という三田織氏が描いたマンガのドラマ制作が始まった。しかし、制作費を巡り、齟齬が生じ、また、地方創生を目的にしたドラマにもかかわらずZipangから「美馬市でロケをするのは難しい」との発言も飛び出した。
「話し合いをするうちに、今年1月ごろ吉廣社長から『何カ月もの間、お互いに齟齬があった。退けと言われても仕方がない』と言われ、結果、制作委員会から外れてもらうことになりました」(同前)
Zipangに質問書を送ると、概ね次のように回答した。
「(上富良野町に関しては)連携協定に記載されたスキームに基づき当社が映画制作を行うことは難しいことを上富良野町にはお伝えしています。実写映画化等に関しては、上富良野町がそのあり方を含めて見直しを進めておられます。(美馬市に関しては)美馬市と当社の協議において、検討した諸条件が相互に折り合わなかったため、当社が主体となってドラマを制作する案件は成立しませんでした」
Zipangに出資した直接の親会社であるMBSイノベーションドライブや、その親会社で吉廣社長の出身母体であるMBSHDは、
「Zipangが独立した経営判断のもと行なっている事業に関することと存じますので、当社としてはコメントする立場にないものと考えております」
また、A取締役の出身母体である毎日新聞社は、
「(自治体とのトラブルについて)社員(編集部注:A氏のこと)は2022年6月にZipangを退社しています。また、毎日新聞社とZipangとの間に出資等の関係はなく、映画やドラマの企画についても社としては一切関与しておりません」
今、上富良野町は三たび、映画化に向けて動いているという。
「苦戦しながら復興をした先代たちのように、苦難を乗り越えて全国の方に見てもらえるような映画作りに今後も尽力していきたいと思っています」(前出・上富良野町担当者)
一体、なぜZipangでは、トラブルが相次ぎ、制作がストップしたのか。現在配信中の「週刊文春電子版」では、背景にあるZipang内部での“パワハラ疑惑”、上富良野町、美馬市の制作トラブルの詳細、吉廣社長への直撃取材、そして予算が投じられる地方創生ビジネスの危うさについて、詳しく報じている。
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