群馬県前橋市の国立群馬大学医学部で、現在3年生の約3分の1にあたる約40人の学生の留年が決まり、そのうち24人が1人の教員の授業で留年させられていたことが「週刊文春」の取材でわかった。学生の間からは「アカハラだ」との声が上がっている。
医学部は1年間の授業の多くを必修科目が占め、必修科目で落第点を取れば進級はできない。さらに群馬大学の場合、翌年は次の学年の授業を取ることができず、落第した科目の単位を取るためだけに1年間大学に通わなければならないという。
医療をテーマにした即興演劇で8人が事実上留年に
留年者が大量に出ている授業は、服部健司教授(63)が担当する「医の倫理学」と「医系の人間学」。多くの教員は、「救済措置」として再試験や補講を課してなるべく留年する学生を少なく抑えようとしているが、服部教授は現在、そうした救済措置を取っていないという。
卒業生が語る。
「服部教授の授業は、成績評価の基準がよく分からないんです。彼は今年から、3年生が対象の『医系の人間学』の授業で医療をテーマにした即興演劇を取り入れ始めました。毎回の授業後に考察などを書いて提出する『リアクションペーパー』と、学生自身の演劇のパフォーマンスだけで成績が決められ、試験も期末レポートもなしで、8人が単位を落としました。必修科目なので、その8人は事実上留年です。学生たちは『一生懸命演技していた人ほど単位を落とした』と嘆いていました」
ストレートで卒業できる学生の割合が60%台
文部科学省は、2016年度に入学した医学部生が6年間ストレートで進級し、2021年度に卒業できた割合(最低修業年限での卒業率)を集計している。国立大学の平均は85.8%で、9割を超える大学も珍しくない。だが、群馬大の3年生は、6年間ストレートで卒業できる学生の割合がすでに60%台になっている。