日本国内に800万人超の遊戯人口を誇る“超巨大娯楽産業”パチンコ・スロット。
近年はコロナ禍に加え、規制が強化されて射幸性の高い機種が撤去されたことで客離れが起き、中小規模の店舗では倒産が相次いでいた。しかし最近またパチンコの人気が再燃しているという。業界関係者が、匿名を条件にその背景を説明する。
「現在のパチンコ台は1度の大当たりの出玉数の上限が低くなり、客は高揚感を感じにくくなりました。しかし業界側も、ルールの穴をついて大当たりが2回セットになった新機種などを開発して、なんとか客離れを食い止めようとしています。さらに最新機種では高い連チャン確率に加えて可能な限り出玉スピードをあげて、20分で2万発(1玉4円なら8万円分)出る機種もあり、あれは脳が“焼け”ますよ(笑)」
そんなパチンコを遊ぶ上で最も重要なのが、台に無数に打ち付けられた「クギ」である。大当たりにつながる「入賞口」という穴に向かうルートのクギの間が広ければ、多くの玉が「入賞口」に入りやすくなる。大当たりを引くのに必要な金額を抑えられる可能性があり、客にとっては有利になる。
ただし、射幸性に直接つながる部分のため、風営法ではパチンコ店がクギを自由に調整することを禁止し、メーカーが出荷したままの状態で営業することが求められている。
「他の店と比べると玉が入りやすい気がして、10年くらい通っています」
しかし11月9日、京都市内のパチンコ店「ナカサン」がクギの調整をしたとして摘発を受けた。関西在住記者が解説する。
「『ナカサン』は、京都市内に3店舗を展開する小規模のホール事業者です。3店舗のうちの京都市南区にある店でパチンコ台のクギをハンマーで叩くなどして曲げた疑いで、社長、店長、副店長の3人に加えて会社法人そのものが風営法違反(無承認設備変更)で書類送検されました。間を緩めてよく回るようにしたり、逆に締めて入りにくくしていたようで、10年以上続けていたのではないかと見られています。警察の調べに容疑を認め『客離れしないようにずっとやっていた』と供述しています」
“クギ曲げ”が行われていた店舗の常連客に話を聞くと「ここは良いお店ですよ。他の店と比べると玉が入りやすい気がして、10年くらい通っています」(男性)という声もあれば「他より出やすいというのはあまりないかな」(高齢男性)とクギについての評価はまちまちだった。