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2022/11/24

genre : ライフ, 社会, 国際

「でも、こういう詐欺の相談が多いのか、なかなか警察は詐欺師の口座を凍結してくれませんでした。『詐欺だという証拠がないから口座を凍結できない』というんです。結局、根負けしたのか、警察が事件として捜査してくれることになりましたが……」

 もっとも、王さんからお金をだまし取った詐欺師はまだフェイスブックのアカウントを削除しておらず、次のターゲットを探しているという。王さんが怒りを滲ませながらこう語る。

「フェイスブックには、ほかにも似たような詐欺師がたくさんいます。JPモルガン勤務といった設定も似ているのですぐにわかるんです。このまま放っておくと、私のような被害者がどんどん出てくるかもしれない。本当に注意してほしいと思います」

王さん提供

フェイスブックは国際詐欺グループの巣窟

 詐欺や悪徳商法に詳しいジャーナリストの多田文明さんによると、国際ロマンス詐欺には大きく分けてナイジェリアなどの「アフリカ系」と「中国系」の2つのグループがあるという。

「ナイジェリアやガーナに拠点をおくアフリカ系の犯罪グループは、恋愛やロマンスを前面に押し出し、日本に行くための渡航費などの名目でお金を振り込ませるという特徴があります。

 それに対して中国系のグループは、仮想通貨取引への勧誘など投資詐欺としての側面が強い。今回の王さんのケースは完全に中国系グループの手口です。実際に中国系グループの国際ロマンス詐欺ではJPモルガンなど一流企業を騙るケースが非常に多いんです」

 ただし、多田さんによれば、王さんのケースには従来の国際ロマンス詐欺とは少し違った新たな手口が見られるという。

年齢、性別を問わず誰でも引っかかる可能性が

「今回のケースでは、詐欺師が途中で王さんに1万ドルを戻しています。これまでは最初に少し戻して被害者に信用させるのが常套手段だったんですが、王さんには途中で100万円以上のお金を戻している。これは従来のやり口と大きく違う点です」

 こうした詐欺に騙されないためにはどうすればいいのか。多田さんは「大前提として、まずフェイスブックで知らない人から友だち申請がきても絶対に承認しないこと」と指摘する。

©iStock.com

「そもそもフェイスブックというのは詐欺集団にとって使いやすいSNSなんです。詐欺師がいたからといってフェイスブック側に通報しても、必ずしも対処してくれるとは限らない。他のSNSよりも対応が杜撰なんです。だから、次から次へと詐欺師のアカウントが出てくる。結局、フェイスブックでは知らない人とつながらないのが一番です」

 詐欺というのは年齢、性別を問わず誰でも引っかかる可能性がある。王さんのケースはけっして他人事ではないのだ。

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