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西本 僕自身は若ぶっているつもりなんで、当時そういう扱いを直接食らったわけではないです。逆に、ずっとスタイリストの仕事をしていたから、人を外見だけで見る癖がついていたんですよ。だからどちらかというと「おっさん扱い」をする側にいた。でも、自分が40代になって、いわゆる「おっさん」の年齢に近づいてきた時に、「おっさん」への風当たりの強さを感じるようになって。

 僕たちのような職業だと、人をオシャレかダサいかだけで判断する。でも外見って取り繕えるわけじゃないですか。年を重ねた時、内面が成長しているかどうか。そっちに注目したいと思うようになって。

 それにマイナスイメージのある「おっさん」が「ありがとう」とお礼を言われる機会を作ったら、「おっさん」っていいものだぞ、みたいなアピールができるかなと思ったんですよね。

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「おっさんレンタル」での男女トラブル

――「おっさん」のマイナスイメージの原因は何なのでしょう。

西本 説教をされそうってところですよね。話を被せてきたりマウントを取ったり……でもその一方で「おっさん」のほうが心が開ける、というユーザーさんも多いんですよ。

 立ち上げ当初、レンタルできる「おっさん」は僕だけだったんで、全国のお客さんに対応していました。最初は、1000円もらうんだから何か面白いこととかギャグを挟まなあかんのかなと思ったりしてたけど、ただ聞いてほしいんだと言われることが多くて。その時に、これは“傾聴”なんやなと思ったんですよ。ただ話を聞くだけで誰かのためになるんだなって。

 

――女性の利用者が多いとなると、男女トラブルなども連想されますが。

西本 公序良俗に反する依頼や営利目的の依頼はNGにしているので、トラブルって全然ないんですよ。強いて言えば宗教の勧誘に遭うくらいかな。

 お客さんからお叱りを受けることはあります。「お説教臭かった」とか「上から目線だった」とかが多いです。3回クレームの入った「おっさん」とは契約解除をするようにしていますが、今のところ契約解除になった「おっさん」はいないですね。

 このサービスで働く「おっさん」は、まず一度でも他人から「おっさん」と呼ばれた経験がある人に限定していて。応募してくれた人と面談して、採用となったら年会費6万円を払ってもらって登録します。「おっさんレンタル」のレンタル料はまるごと「おっさん」のもので、僕がもらっているのはその年会費だけ。