「おっさん」を1時間1000円からレンタルできるサービス「おっさんレンタル」。このサービスでは、悩み相談から論文の添削、キャンプ同行まで、ありとあらゆる要望に対応してくれるそうだ。
そんな一風変わったサービスを立ち上げたのは、スタイリストとしても活躍する西本貴信さん(55)。西本さんに「おっさんレンタル」を始めた経緯や10年間続いた理由、依頼の多いレンタル内容などについて詳しく聞いた。(全2回の1回目/後編を読む)
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コロナ禍、依頼が急増した「おっさんレンタル」
――「おっさんをレンタルできる」という突飛なサービスですが、今年で11年目を迎えました。
西本 ニーズがあるから不思議ですよね。「もうどうしようもない」という時に利用されているように思います。先日レンタルされたお客さんなんかは、「こんなサービス気持ち悪いから頼みたくない」って思ってたのにレンタルしたそうで。夫の浮気を疑っていて、男の気持ちを知りたいから話してみたいと。
――「おっさん」側は利用客の悩みが解決するように何かアドバイスをするのでしょうか。
西本 アドバイスがほしいわけではなくて、ただ聞いてほしいだけという方が多いんです。誰にも言えない、知られたくないというときに利用されているみたいです。
ユーザーの8割が女性なんですが、自分の悩みを友達に聞いてもらうのは申し訳ないという人が多いです。このサービスだと2時間レンタルして言いたいだけ言って解散できる。
特にコロナ禍で流れがはっきりと変わったんですよ。直接会えない分、オンラインやリモートが一般化して、うちは完全にその波に乗っちゃった。ちょうど昨日も宮崎のお客さんからLINE電話での利用があって。決済はLINE Payで、今っぽいでしょ(笑)。リモートで手軽に利用した後、対面でのレンタルを希望するお客さんも多いです。
――そもそも10年前にこのサービスを始められたきっかけを教えてください。
西本 僕が40歳ちょっとくらいの時に、電車の中にいた女子高生がおっさんの耳毛がどうのこうのって話しているのを聞いたんです。若い子の中だと、「今日の会社の飲み会におっさんが2人来るぞ」って言われたら「えー、おっさんくるのかよ」って感じでしょう。
「おっさん=汚ない、臭い」「おっさんは上から目線で説教をする」というイメージを持つ人が多かったりして。そういう風に、「おっさん」に対する軽視を肌で感じていたんです。
――西本さんご自身がそういう扱いをされたということでしょうか。