「おっさんレンタル」で働いて夫婦関係が改善した人も
西本 そうですね。貢献できているんじゃないかな。リピーターのお客さんもいるわけだし、たくさん応募をいただくところなんかを見ると、「おっさん」側でも興味を持ってくれている方は多いように感じますね。
最初に「おっさんレンタル」を考えたとき、スーパーマンのイメージがあったんですよ。会社では冴えないおじさんが、宇宙人が襲来したら公衆電話で着替えて強くなる。そういうイメージやったんです。
会社で冴えない「おっさん」が、今日16時からレンタルあるってなったらそこで人助けしてるわけ。しかも、それを見た他の「おっさん」が「俺も……」って思う。
仕事が人生の全てじゃないし、いくつになってもまだ挑戦できるというか。「おっさんレンタル」で経験を積んで開業した人なんかもいますし。
――キャリアを転換する機会にもなっている。
西本 かもしれないですね。
レンタルに行き出して奥さんとの関係が改善したおっさんもおったり。「あんた、レンタル依頼来るやん、なかなかやるやん」みたいな(笑)。人生がいろいろ交錯しますね。
それと、海外だと年を取ったら社会貢献をする人も多いじゃないですか。そこで自己実現をするというか……日本だとそういう機会が少ない。その代わりに、収益目的よりも何か人を応援したい、助けたいという人が登録してくれている感じがします。
例えばベビーシッターの免許を持つ「おっさん」の評価がすごく高いんですが、それを商売にするのは嫌なんだそうで。ビジネスじゃなく、社会貢献がしたいみたいです。「ルールだからもらってください」って言ってるけど、本当はレンタル代はもらいたくないという「おっさん」も少なくないですよ。
写真=杉山秀樹/文藝春秋
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