弁護人「事件当日、山間部からタクシーに乗った男があなたではないかという話が出ていますが?」
被告「違います」
弁護人「当日朝、あなたの当時の自宅近くの商店でタバコを2個とライターを買った記録がありますが、これはあなたという認識ですか?」
被告「なくはないですけど、ライター買ってるんで、自分じゃないかなーと。自分ずっと、ジッポ使ってたんで、はい」
「全く関わっていません。少しでも記憶が残っていればアレですが、そういう記憶もない」と“事件当日の行動を思い出せないが、犯人ではない”という主張を続ける被告人に対して、検察官は厳しい質問を繰り出した。
検察官「同僚は、居酒屋を出た後、あなたとはぐれた、と証言していました。その後、あなたはどこで何をしていたんですか?」
被告「覚えてないんで」
「強姦する女性を探して物色していたのでは?」
検察官「強姦する女性を探して物色していたんではないですか?」
被告「そんなことはないと思う」
検察官「山間部で発見されたAさんの車のハンドルからはあなたとの混合DNAが検出されています。あなたがAさんの車を運転したからハンドルからDNAが検出されたんじゃないですか?」
被告「車に見覚えはないです。自分のもの(DNA)がなぜ出たのかは分からない」
検察官「あなたは2014年1月から夜間の工事の仕事をしていましたね。3月まで工事は続く。同僚によれば本格的な夜間工事は1月15日から。その間、強姦する女性を物色できないと思ったんではないですか?」
被告「そんなことはないです」
検察官「この事件の1ヶ月前にも、わいせつ略取未遂事件を起こしていますよね?」
被告「はい」
喜納被告が一瞬認めたように、彼はAさん事件の1ヶ月前に別の事件を起こしており、検察側は、Aさん事件は喜納被告による連続した一連の事件のひとつだと見ていた。
(後編に続く)