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試合は30分を経過した。死力を振り絞ったまさにデスマッチ。両者はなんとか立ち上がるとナックルのカウンターとなりダウン。どうやら北斗のパンチが先に神取に当たったようだ。大の字に倒れる神取のもとまで這いつくばって進み、フォールする北斗。ここで3カウントが入った。勝負タイムは30分37秒。死闘を制したのは北斗だった。
“デンジャラスクイーン”北斗晶のスゴさとは
なかなか起き上がれない北斗に対し、先に起き上がった神取はマイクで「北斗! これで終わりじゃねーよ」とアピールしてリングを降りた。神取は確かに強かった。最強説が飛び出すほどのファイターであることは疑いようがない事実だった。
一方、勝った北斗。神取との喧嘩マッチを制し、「お前はプロレスの心がない! プロレスはプロレスを愛する者しかできない! 柔道かぶれのおまえに負けてたまるか」とマイクで叫び、セコンド陣に支えられながらリングを後にした。
この試合に関しては、北斗は死んでも神取の攻撃を返すつもりでリングで闘っていたのではないだろうか。ファイターとして技術、肉体的な強さは、神取に分があるのかもしれない。だが、試合をコントロールするプロレスラーとしての技術や才覚は、北斗の方が神取の何倍も長けているように見えた。北斗がプロレスラーとしてこの一戦に勝利した意義は大きい。
北斗が「デンジャラスクイーン」と呼ばれるカリスマになり、神取が「女子プロレス界最強の男」と呼ばれるターニングポイントとなった伝説の喧嘩マッチ。横浜アリーナは試合後もずっとその熱狂に酔いしれていた。