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大崎 1人でボーッとしているより、働いたほうがいいじゃないですか。人との交流も生まれるし。だから、働けるうちは働きたかったんです。

 あと、私はもともと服が好きで、衣装を触っていること自体が好きでした。いろいろな仕事をしてきて、最終的におしゃれに関わる仕事で締めくくれたことは、すごく幸せだなと思っています。

――好きなことを仕事にできた、と。

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大崎 好きなことを仕事にするのは、なかなか難しいことですよね。私自身、好き嫌い関係なく、生活のためにいろいろな仕事をしてきました。でも、趣味でも何でもいいから続けていたら、誰かが見ていてくれるし、背中を押してくれるかもしれない。私みたいに、50歳を過ぎてから希望の職に就くこともありますし。まず、どんな形でも好きなことを続けることが大事だと思う。

大崎さんは70歳まで大手町のホテルで衣装アドバイザーとして働いていた ©文藝春秋

「ひとりの老後」に感じていた不安

――大崎さんは、自著『89歳、ひとり暮らし。 お金がなくても幸せな日々の作りかた』の中で、歳を重ねていくことへの不安についても触れています。

大崎 すごく不安でしたね。

――それは何歳ぐらいから?

大崎 ずっと不安でしたよ。けっこう長いこと不安だったなぁ。だって、老後は一人きりになっちゃうわけでしょう。私の娘は、24歳でロンドンに留学して、そのまま現地で就職、国際結婚してしまった。わりと早い段階で「ああ、もう日本には帰ってこないな」と思った(笑)。そこから一人でやっていくしかないと覚悟しましたが、それでもやっぱり不安でしたよね。

©文藝春秋

――今はどうでしょう?

大崎 今はね、怖がらないようにしています。Twitterもあるし、太極拳や麻雀の仲間もいる。それに、これから私が生きる年数なんて決まっていますから。どんなに生きたって、あと10年でしょう。

「人生100年時代」と言うけれど、100歳の人は一人では生きられないの。周りに誰かがいて、その人たちのサポートがあって成立しているだけ。おかげさまで私は今こそ心身共に元気だけど、怖いのは認知症になることなんです。ここを出て、介護施設に入るなりしなければいけなくなるから。