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 教育委員会側はイジメと認定した6つの項目について説明するものの、それらが爽彩さんの死と関係しているとは断定できないとした。その理由として、「当該生徒には希死念慮があった。その希死念慮とイジメの因果関係を証明できなかった」と説明し、イジメと自殺との関係を断言しないままに終わった調査結果をなぞった。

 続いて、Y中学校の校長が「ご遺族、保護者へのご心痛をかけたことを申し訳なく思っている。大変重く厳重に受け止め反省している」と語り、学校内のおける再発防止策について語った。

黙祷もしないんですか?

「再発防止策は4つの柱を立てています。一つ目は、いじめ事案の原因の調査と組織的な対応を行います。二つ目は、いじめ全校指導への取り組みを計画的に進めてまいります。三つ目は、生徒の自己優良感、自己肯定感を高め、思いやりの思考の充実を図ります。四つ目は、家庭、地域、行政との連携強化を図り、各方面との連携のもと組織的な対応を行っていきたいと思っております。
 
 今回の報告書にあるいじめ防止等対策委員会の言葉を重く受け止め、いじめの対応に真摯に向き合い教育の充実に全力を尽くす所存です」

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失踪直前に爽彩さんが友人に送ったLINEメッセージ

 質疑応答では、最初に挙手した男性が怒りをこらえたような声でこういった。

「黙祷はしなくていいんでしょうか。反省しているとおっしゃっていましたが、それなら教育委員長が音頭をとってやるべきではないでしょうか」
 
 これに対し、教育委員会は「大変失礼しました。それでは、亡くなった生徒に哀悼の意を示したいと思います」淡々と返答した。保護者の呼びかけにより、開始から50分以上経過してようやく爽彩さんへの黙祷がささげられた。

 市教育委員会と学校が示した再発防止策に対して、不満を持つ保護者は「やっとひらいていただけた」と声を震わせながら語り出す。

イジメがあった公園 ©️文藝春秋

「今回の再発防止策には性のことが一切書かれていません。今まで学校教育の中で性教育をきちんとやってきませんでした。今回、ゆがんだ性の知識を持った生徒が野放しになっていることが分かったと思うのですが、学校教育の中で学びなおすのを今後の課題に入れないともっとひどくなると思います。こういったことを教えていくことが、本当に子どもたちの命を守っていくことに繋がっていると思います」