文春オンライン

特集移動編集部

島根県の山中にある「謎のレトロうどん自販機」 1日400食も売れる“驚きの味”とは

島根県の山中にある「謎のレトロうどん自販機」 1日400食も売れる“驚きの味”とは

genre : ライフ, グルメ

note

優しい味わいながらも満足感の得られるうどん

 さて、気になる味はどんなものだろうか。一番人気だという「スタミナうどん」(400円)をいただく。第一印象は「熱い!」。うどんの器を手にとると、まずその容赦ない熱さに驚かされる。

ボタンを押して待つこと20秒、アッツアツのうどんが出てきた!

 具は、えび天、ゆでたまご、牛肉、カマボコ2片、ねぎ、わかめ、ゆず。ここに透き通っただし汁がかかっている。値段と自販機という形態からは想像できない、ボリューム感のある一杯だ。

 まずはスープから一口。フワーッと、ゆずの香りが広がる。

ADVERTISEMENT

「近くにある益田市美都町がゆずの名産地で、そこのものを使っています。秋だとまだ青いですが、冬になると黄色くなりますね。その時期のゆずを冷凍しておいて、1年中うどんに入れられるようにしています」(後藤さん)

 このゆずが実に良い仕事をしており、チープさは一切感じられない。

 加えて特筆したいのは牛肉だ。甘辛い味付けで煮こまれた牛肉は、毎日仕込まれているという。上から熱いだしを注がれることによって、牛肉の脂と煮汁が溶けだし、スープのコクになっているのだ。

 麺はいわゆるソフト麺なのでこしが強いタイプではないが、全体の調和がよく取れていて、優しい味わいながらも満足感の得られるうどんに仕上がっている。

 メニューは日によって変わる。取材当日は、スタミナうどん以外に、ラーメン、肉うどん、鶏天うどん、肉そばがいずれも350円で提供されていた。

こちらが一番人気の「スタミナうどん」(400円)

場所によって少しずつ違った中身のうどんを楽しめる

 実は、後藤商店の2軒隣にもレトロ自販機が置かれた「ドライブイン オアシス」がある(なお、オアシスでもうどんが提供されているが、チャーシュー、ゆでたまご、キクラゲ、もやしなど具だくさんなラーメンをオススメしたい)。車でさらに5分ほど進むと、やはりレトロ自販機が置かれている後藤商店の支店もある。

 いまでは貴重なレトロ自販機が固まっていることから、一部のファンの間では「聖地」とも呼ばれているそうだ。

日本一の清流、高津川のほとりで。ピクニック気分を味わえる

 島根県には他にもレトロ自販機が点在しており、場所によって少しずつ違った中身のうどんを提供しているという。自販機なので、売り切れていなければ24時間いつでも楽しむことができる。インスタント(即席)ではあるが、毎朝手作りされているレトロ自販機のうどん、機会があれば是非この驚きを体験していただきたい。

写真=山元茂樹/文藝春秋

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。次のページでぜひご覧ください。

島根県の山中にある「謎のレトロうどん自販機」 1日400食も売れる“驚きの味”とは

X(旧Twitter)をフォローして最新記事をいち早く読もう

文春オンラインをフォロー