1ページ目から読む
2/3ページ目

 過去に三冠馬対決は4回行われている。ミスターシービーとシンボリルドルフ(1984年ジャパンCと有馬記念、1985年春の天皇賞)、オルフェーヴルとジェンティルドンナ(2012年ジャパンC)。

 この2回は三冠馬が2年続けて誕生しており、ファンは異世代対決に酔いしれたが、3頭対決など例がない。しかもアーモンドアイにとっては引退レース。競馬ファンにとって夢のような歴史的対決であり、出走馬のレーティングもアーモンドアイ128、コントレイル124、デアリングタクト123と史上最高級だ。

 アーモンドアイは2年前のジャパンCを2分20秒6という世界レコードで勝っている。

ADVERTISEMENT

 コントレイルは前走の菊花賞でアリストテレスのマークを凌ぎ無敗の三冠馬となったが、前走で体力を使い果たした感じがした。

 デアリングタクトは2頭より軽い53キロの恩恵がある。それぞれの実績や買い材料、マイナス点を比較するだけで興奮した。

 一体どのようなレースになるのだろう。普段はオッズを加味して馬券を購入するが、このレースだけは何も考えずに馬券を買った。「当たりハズレなどどうでもいい」――今になって思えば、それは競馬を始めた40年前のワクワク感と似ていた気がする。

キセキが逃げた! ジャパンカップの結果は…

 ハナを切った菊花賞馬キセキが大逃げを打つと、好スタートのアーモンドアイは4番手に控えた。2馬身後ろの7番手にデアリングタクト、さらに2馬身差でコントレイルという並び順は前半1000m57秒9のハイペース。

 4コーナーを回っても衰えなかったキセキの脚色をみて「カツラギエースの再来か!」と感じたが、数秒後にアーモンドアイが抜き去り、同馬をめがけてコントレイルが迫りくる。さらに内からデアリングタクト。

 わずかな歓声が響く中、2頭の無敗三冠馬を尻目にアーモンドアイが先頭でゴールイン。

 1馬身差の2着にコントレイル、クビ差でデアリングタクトと、史上最高レースは人気順通りに決着した。3頭ともゴールインした直後、なぜだか涙があふれてきた。

 競馬で泣いたのは3度目である。最初はオグリキャップの引退レース・有馬記念。まだ競馬のケの字も知らぬ若造は、中山競馬場で競馬仲間の友人とともに感動で体が震えた。2年後には大好きだったホワイトストーンが復活したアメリカジョッキークラブCで、同馬の勝利にはちきれんばかりの感動を覚えた。