「今は自さつしたいです」という手紙を母の枕元に
実は、交換日記での謝罪前、ミチコさんは母親の枕元に「今は自さつしたいです」などと書いた手紙を置いた。それだけ追い詰められていた。
後日、下校時にミチコさんが下駄箱の靴を取り出し、履こうとしたが、靴の爪先あたりに碁石程度の大きさの小石が何個も、そして爪楊枝かそれよりも太い枝が何本も詰められていた。事実を確認した校長が教室に向かったが、誰がしたのか判明しなかった。翌日、学校は、特別授業と、緊急保護者会を開いた。
「交換日記の件での謝罪の1週間後に、靴の件がありました。2学期になって、加害の2人がしたことがわかったんです。夏休み明け、ある児童が教頭に、ミチコの靴に石や枝を詰めたのはサトさんとマイさんだと話したからでした。教頭や主幹教諭の聞き取りに2人は認めました。しかし、ミチコは再び不登校になりました。
いじめが繰り返されたため、加害者側の謝罪は受け入れられる状況ではありませんでした。ただ、『謝罪の場ではない』と言われ、学校へ行くと、加害者親子が一方的に謝罪をしてきました。それで謝罪をしたことにされたのです。ただ、なぜ、靴の件をしたのか。それは『ミチコさんの母親がTwitterで悪口を書いたから、腹いせに嫌がらせをした』と言っていました。ただ、私は堺市とは書いているが、学校名も当事者の名前も匿名にしています。特定される内容ではありません」
転校したミチコさんは「しっかりと発言し、相手に認めさせたい」
ミチコさんは結局、5年になって転校した。「いじめ」ではなく、「転居」を理由にしたものだった。ミチコさん本人は、小学校生活をこう振り返る。
「転校前の学校には、仲のよい友達もおったけど、友達と喧嘩して、遊んでいた子たちが急に変わって、嫌がらせとか悪口をいっぱいされました。それが嫌だったなあ。転校後の学校は、転校前の学校よりは楽しかったかな。転校先の学校には幼馴染もいて、最初の頃は、その子たちがフォローしてくれました。校長先生もすごくいい先生で、担任の先生もよかった。周りの子たちも気を遣ってくれて、優しい子が多かったです。そのため、溶け込みやすかったです。友達もたくさん増えて、遊ぶ機会も増えました。転校前の学校のことは、嫌なことがあったときにたまに思い出したりします」
裁判について、ミチコさんはこう考えている。
「これでちゃんと解決するならいいし、また、ちゃんと謝ってもらえるならいいかな。謝ってもらうこともそうだけど、もし、他の子たちにも、いじめをしているのなら、やめてもらいたいと思っています。ただ、お母さんには迷惑をかける。その分、頑張ってやりたい。自分が発言しないといけない場面ではしっかりと発言し、相手に認めさせたい」
堺市教育委員会(生徒指導課)に受け止めを問い合わせたところ、「訴状が確認できていないので、コメントできない」との返答だった。