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帽子がゴミ箱から見つかると担任は「自ら投げて入ったのではないか」

 訴状によると、ミチコさんが小学校1年のとき、帽子がゴミ箱から見つかった。母親は担任に調査を求めたが、担任は十分な調査をしないまま、「(ミチコさんが)物を投げたりしていた際に、帽子がゴミ箱に入ってしまったのではないか」と母親に伝えた。

 ミチコさんと母親がこの対応について不信感を抱き、3学期の終わりに校長に訴えた。校長は、今の担任が次年度はミチコさんの担任にならないように配慮すると伝えた。

「帽子の件は当日に娘から言われました。その他のいじめの件も、娘からすぐに聞いています。学校に尋ねると、担任は出来事について認めることが多かったです。担任からの電話で話を聞く場合もありました。また、娘から夜遅く聞くときには連絡帳に書いて、担任がその返信をするやりとりもありました」

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いじめを受けていたミチコさん(仮名)

 2年生に進級する前の春休み、ミチコさんは発達検査を受けた。母親が発達に不安を持っていたためだ。その結果、自閉症スペクトラム障害及びADHD(注意欠陥・多動性症)の診断を受けた。母親は学校に伝え、2年生後半から試験的に(個別指導を受ける)支援学級の体験に通うようになった。

「保育園の頃も、『みんなと違う』と言われていました。年長のときに心配で検査をしたのですが、グレーゾーンでした。早生まれの影響があるのではないかと思っていました。しかし、小学校に入ってから、同級生とのトラブルがあったり、勉強の遅れがあったので担任からのすすめで(発達障害の)検査をしたのです」

すれ違いざまに「うざい。死ね」それでも加害者の言い分だけを認める担任

 2年生のとき、同じクラスのアサさん(仮名)の防犯ブザーが壊れたことがあった。その当日、担任から「ミチコさんが同級生の防犯ブザーを壊したから謝罪してください」と言われ、アサさんの保護者に謝罪した。しかし、ミチコさんから事情を聞くと、アサさんがランドセルをつかみ、ミチコさんを地面に押し倒した。そのため、アサさんの手を払い除けようとして、そのとき偶然、ミチコさんの手がアサさんの防犯ブザーに当たった、ということが判明した。

「この件も連絡帳に、ミチコの言い分を書きました。その後、担任が調査をすると、『ミチコさんの言っている通りでした』と言ってきました。加害側も認めたようです。それまで担任は、娘に聞き取りをしないまま、加害者の言い分を認めていたことになります。そのため、1年生のときの対応を含めて、娘も私も学校への不信感が増したのです」

 3年生の5月、ミチコさんとアサさんの間で再びトラブルがあった。休み時間にミチコさんが別の友人と話していたとき、その友人にアサさんは「(ミチコさんの)話聞かんといて」と言ったり、ミチコさんとすれ違ったときに「うざい。死ね」と言ったという。すれ違いざまの発言内容は、ミチコさんとアサさんの間では食い違いがあったが、担任はアサさんの言い分を信じて、お互いを謝罪させた。ミチコさんは聞き間違いだと決めつけられたことにショックを受け、2週間ほど学校を休みがちになった。登校できても、母親と同伴だった。通常学級には入れず、支援学級で過ごした。

「3年の担任は『ミチコさんも悪いから』と言って、加害側への指導は何もしませんでした。お互いに『ごめんなさい』と謝罪させて終わり。聞き取りの方法も、先生の前に、両者を立たせて聞いていたようです。しかし、娘は発達特性があり、うまく話せなかった。そんな中で、相手の意見が通る。いじめはどんどん悪化していきました。病気じゃないのに、『しんどい』と言い、休みがちになりました」