釣りには意外とお金がかかる。釣り具代、餌代、交通費……。

 ルアー釣りなら無限に釣りができると思っていた時期もあったが、釣果を求めると不思議とルアーが増え、根がかりすれば同じものを補充する。釣り沼は本人の気付かないところで静かに沈んでいく、危険な場所だと認識したのだった(ただ自制心がないだけ!)。

どうにか安く釣りができないか?

 大袈裟に言ったが、実際に物価上昇の波は釣り業界にも及んでいる。釣り具にとどまらず、イソメなどの虫餌やオキアミも値上げされ、今後はいままでのように釣りができなくなる恐れもある。

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 どうにか安く釣りができないか? 現地で餌を確保できれば、釣りの原点ともいえるサバイバルも体験できて、普段と違った趣向で釣りが楽しめるのではないか。

網で掬った小魚の泳がせでも大物が釣れる

 餌代0円は極論ではあるが、このご時世だからこそ釣りの楽しみ方を見直すべく、現地餌を使った釣りを調査してみた。

島根の地で食用にもなっている「ヨメガカサ」

 今回は島根県に滞在中だったこともあり、現地では食用にもなっている「ヨメガカサ」を採取することにした。ヨメガカサは磯遊びでもよく目にする、平たい円形の殻を持つカサガイ目の一種。磯や堤防、建造物の海面付近に生息しており、手に入りやすい生物でもある。

これがヨメガカサ(※一部、その他の貝も含む)

 地域によって「ベベ貝」「ボベ貝」と呼ばれ、ニンジンや油揚げを入れて作った炊き込みご飯は、島根県の家庭料理として親しまれているという。堤防釣りにおいて、貝類はすでに万能な餌として知られているので、早速採取することにした。

釣り餌を確保せよ

 学生時代に地元の岡山県で釣りをしていた時はどこにでもいる貝だと思っていたが、探してみると意外と見つからない。磯や堤防の海面付近にいても、手が届かず採取できなかった。

 内湾側で海面が近く、波の影響を受けない釣り場をマップで探すと、消波目的とおぼしき敷石が地続きで沖に延びていた。向かってみると、すぐにヨメガカサを発見できた。

群生するヨメガカサ