「和歌山のターミナルって、和歌山駅だけですか?という問題が残っている」
ともあれ、そんなわけで和歌山県都のターミナル・和歌山駅からけやき大通りをまっすぐ西に、そしてときおり横道に逸れながら歩いてみれば、歓楽街から中心市街地、そして和歌山城まで、それとなくひととおり、和歌山の町を味わうことができるというわけだ。あ、名物の和歌山ラーメンの店もいくらでも見つけることができますよ。
だがしかし、である。和歌山のターミナルって、和歌山駅だけですか?という問題が残っている。
大阪と和歌山を結んでいるのは、和歌山駅を終着駅とするJR阪和線、そしてもうひとつ、南海電鉄がある。南海は、大阪・なんばを起点に阪和線とほとんど並んで走り、阪和線より海側で紀ノ川を渡って、和歌山におけるターミナル・和歌山市駅に着く。その場所は、和歌山駅からはだいぶ離れた中心市街地の西の端。紀ノ川のほとりに位置している。
「せっかくなので、和歌山市駅まで足を伸ばしてみよう」
せっかくなので、和歌山市駅まで足を伸ばしてみよう。和歌山城の北西の端っこでけやき大通りから中央通りへと北に転進。おおむね南北の碁盤の目になっている和歌山の市街地では珍しく、北西から南東へと斜めに走っている大通りを曲がっていけば、正面に見えてくるのが和歌山市駅だ。
南海の和歌山市駅、かつては高島屋も入る駅ビルがあったが、2014年に高島屋は閉店。以後改築が進められ、2020年にそれが完成したばかりの真新しいきれいな駅だ。正面に設けられた改札口は少々小さいが、それを囲んで覆うように、キーノ和歌山と名乗る駅ビルが建つ。一般的な商業施設に加えて和歌山市民図書館も入っている複合施設だ。
市街地から離れたところにターミナルが2つ。これはいったい…?
背の高いホテルも建っていて、とにかく現代的で立派なターミナル。合わせて整備されたのだろうか、駅前広場も広くて美しい。駅前を通っているのは北大通り。新しいから、というだけの理由でどうこうするのは憚られるが、和歌山のターミナルという点では和歌山駅よりもこちらのほうがふさわしいのではないか、と思うくらいである(ちなみにお客の数は和歌山駅の方が圧倒的に多い)。
しかし、それにしても和歌山という人口35万人程度の町にはいささか不釣り合いともいうべきふたつのターミナル。さらに中心市街地は、どちらのターミナルからも少し離れた場所にある。いったいこれはどういうことなのだろうか。
そう思って調べてみたら、和歌山市内における最初のターミナルは、和歌山駅でも和歌山市駅でもなかった。両駅を結んでいるJR紀勢本線の途中駅、紀和駅であった。