「イエーイ!」って騒いだらスタッフさんから怒られて…
――しばらく「習いごと感覚」だった演技が、「仕事」に変わった瞬間はあったのでしょうか。
美山 うーん、瞬間やきっかけがあったというよりは、徐々に「これは仕事なんだ」「学校や習いごととは違うんだ」と理解していったのだと思います。撮影の現場は楽しかったけど、怒られることも多かったんですよ。
――どんなことで怒られたのですか。
美山 突然「イエーイ!」って騒いだら、スタッフさんから静かにしてって怒られるとか……。子どもって、急にわけわからないことをするじゃないですか(笑)。
あと、どんなに疲れていても機嫌が悪くても、人に会ったら絶対「おはようございます」と挨拶しなさい、と厳しく教え込まれました。でも、現場では昼でも夜でも「おはようございます」って言うもんだから、当時は混乱しましたね。学校だと時間帯によって挨拶が変わるのに、なんでこの業界はいつも「おはよう」なんだろうって。
そういう経験を積み重ねて、少しずつ「仕事」というものを理解できるようになったのだと思います。
「天才子役」と評価されていることを知らなかった
――7歳にして「天才子役」の肩書を背負ったことに対しては、どんな思いを抱いていたのでしょうか。
美山 小さい頃はアニメばかり見ていたから、自分が世間で何と言われているのか、どんな評価を受けているのか、ほとんど知らなかったんです。自分が「天才子役」と呼ばれていたことを自覚したのは、中学生以降だったかも。でも、そのときには天才子役ではなく、「“元”天才子役」と呼ばれることのほうが多かったですね。
「天才子役」の肩書のおかげか、ありがたいことに『僕カノ』以降もたくさんドラマのオファーをいただいていました。でも、中学校にあがってから少しずつ仕事が減ってきて。
中学生くらいって、子役なのか子役じゃないのか微妙な時期なんですよね。美山加恋=子役のイメージが強すぎて、世間では子役じゃない私は求められていないんじゃないか。そう思って、モヤモヤしていました。