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転校先でも「美山加恋ちゃんだ」と言われていた

――中学生といえば、ただでさえ思春期で、周りの声に敏感になる時期ですもんね。

美山 そうなんです。仕事だけじゃなく、プライベートでもいろいろと思い悩んでいました。まだ幼かったから、仕事とプライベートの切り替えもうまくできなくて。自分の抱えているモヤモヤがそのまま演技に出てしまうんです。どんな役でも、なんだか影があるというか、悩みを抱えている雰囲気が出てしまう。

 でも、今振り返ってみると、そのときのお芝居は「あれはあれでよかったな」って思うんです。今の私には演じられない、思春期の私にしかできないお芝居でした。

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――プライベートで悩んでいたこととは?

美山 家族の都合で引っ越しが多かったのですが、知らない土地、知らない学校なのに、どこに行っても「美山加恋ちゃんだ」って言われるんです。そして、「加恋ちゃんが小さい頃、よくドラマを見てたよ」って。

 みんな悪気はないのはわかっています。でも、仕事で悩んでいる時期だったので、そう言われるたびに胸が締め付けられて……。次第に人付き合いを避けるようになっていきました。

 

――そのモヤモヤは、どう解消していったのでしょう。

美山 当時は悩みを吐き出せる場所がなくて、日に日にモヤモヤが募っていく一方で。だから、「お芝居を辞めたらスッキリするかな」「高校生になったら、思いっきり学生生活を楽しむのもいいかもしれない」と思っていたんです。

 でも、中学3年生のときにチャレンジした舞台をきっかけに、子役から俳優の道へ進むことを決心しました。

撮影=釜谷洋史/文藝春秋