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「ゴキブリがシャワーのようにボトボトと」「捕まったまま死んだネズミの臭いが…」害虫駆除業者に聞いた“ヤバい現場”

2022/12/26
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「ネズミは外から侵入してきます。壁を齧って穴を開けたり、天井から降りてきたりして、そこに食べ物があれば周辺で生活するようになる。なので、まずはフンや足跡、齧った痕跡からルートを探して、粘着板を仕掛けます。それから『鼠穴』というネズミが出入りしている穴を探して、これを徹底的に塞いでいくんです。

 ネズミの捕獲に粘着板は有効なんですけど、捕まったまま死ぬと臭いが出てくるんですよね。死んだネズミの臭いを嗅いだことがある人はあまりいないと思いますけど、けっこう強烈なんです。それが客席まで漂ってクレームになることもありますね」

 ネズミはすばしこく、神出鬼没なだけに、捕獲や駆除は知恵比べになるという。

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「僕らが駆除するのは、ドブネズミとクマネズミですね。ドブの方がデカいけど、クマの方が頭はいい。あとドブは平面的な動きしかしないんですよ。でもクマは壁を登ったりする上下運動もあるんで、ちょっと厄介なんですよね」

生命力が強く、なかなか死なない問題

 他にもネズミ対策として、人間には聞こえない周波数を出してネズミを寄せ付けなくさせる「マウスバリア」や、毒エサを撒くなどの駆除法があるという。

「ただ、毒エサは出現する場所によってネズミの好みが本当に違うんで難しいんですよ。生肉だったり、魚好きだったり、食べ物以外の壁紙やロウソクが好きなやつもいる。なので、その時々で毒エサの調合を変えて、誘引物を加えるんです。生臭いの好きかなと思ったら魚粉混ぜるとか、パン屋で出てたらパン粉とか。あとは油や砂糖は基本ですね。ネズミって基本的に甘いもの好きなんですよ」

 また、ネズミはなんでも嚙む習性があり、被害が大きくなってしまう。

「ネズミの被害としては、やっぱり食害ですね。飲食店もよくやられますけど、スーパーマーケットでは、売り場に出ている米袋を齧ったりするんですよ。それも、なぜか高い米を狙う。それを2袋とかやられると、店長さんも大激怒ですよ。スーパーは構造的に侵入経路が多いので、防ぐのも難しいんです。

 天井裏でケーブルを噛んだりすることもよくありますね。いちばん困るのがLANケーブルで、他のケーブルよりも柔らかいのでよく噛まれて断線する。そうなると、お店全体のシステムが落ちちゃって営業できませんということになる。あと電気系を齧って感電死してるネズミもたまに見ますね。ちょっと焦げてて、臭いが独特だったりします」

駆除、捕獲した虫やネズミは持ち帰って冷凍庫へ

 そしてネズミは生命力が強く、なかなか死なないというのも問題だ。