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古参ファンが語る「AKBならではの切実な事情」

「そりゃ、これまで恋愛で処分されてきたメンバーがいるんですから、当たり前ですよ」

 AKB劇場に15年以上通う古参ファンはそう力説する。AKBで初めて恋愛沙汰が原因でメンバーが処分されたのは遡ること14年前の2008年。当時チームBの人気メンバーだった菊地彩香が男性とのプリクラが流出したことで解雇される事態へ発展した。

《チームBの菊地彩香は、AKB48のメンバーとしての自覚に欠けた軽率な行動を取ったことが判明した為、8月14日付けで解雇いたしました》(AKB公式ブログより)

 前出の古参ファンは当時をこう振り返る。

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「当時のあやりん(菊地の愛称)はチームBのまゆゆ、ゆきりんの次くらいに名前が上がるほどの人気でした。にもかかわらず、騒動から1カ月ほどで即解雇という処分には驚きました。当時からAKBの恋愛禁止はファンの間でも公然の事実になっていましたが、この処分によって恋愛禁止という掟の重さを再認識することになりました。

新居の内見が終わり、猪野と腕を組んで歩く岡田 ©文藝春秋 撮影/上田康太郎

 運営の処分だけでなく、ファンの反発も今では考えられないくらいに大きかった。当時、劇場に設置されていたプリクラ機で、流出したプリクラのポーズを真似したり、男性が咥えていたアクエリアスのペットボトルを持ち込んで揶揄するようなプリクラを撮るファンもいた。しまいにはその撮影したシールを劇場のプリクラ機に張り付けるなんていたずらもありましたよ」

 その後も恋愛沙汰がきっかけで多くのメンバーが処分されてきた。峯岸みなみの丸坊主謝罪、指原莉乃のHKT48への左遷など、センセーショナルに報じられたことも多かった。

恋愛禁止が深く結びついた“AKB商法”

 また、AKBが恋愛禁止でブランディングを行なってきたことも事実だ。

「黎明期にはメンバーたち自らが『AKBは恋愛禁止』と発言していたり、楽曲や公演名、コミックにも『恋愛禁止条例』と題したものもあった。AKBは自ら恋愛禁止のグループだというイメージをファンだけでなく世間に対しても強く植え付けていました」(アイドル誌ライター)

 ファンにとっても恋愛禁止ルールは、AKBを楽しむ上で不可欠なものだった。「会いに行けるアイドル」というコンセプトの“AKB商法”と、恋愛禁止ルールは切っても切れない関係なのだという。

猪野とマンションの下見をした後、仕事へ向かう岡田 ©文藝春秋 撮影/細尾直人

「メンバーとの距離感が近く“疑似恋愛”できることがAKBの醍醐味のひとつです。恋愛禁止というルールがあったからこそアイドル相手に“ガチ恋”をして、大金をはたいてでも会いに行きたい気持ちが生まれる。こちらは疑似恋愛状態に陥っていますから、彼氏を公表しているメンバーの握手券を何百枚も買うことはできませんよね(笑)」(同前)

 そんな歴史を重ねながらも、令和に入ってAKB内でも恋愛禁止という言葉は風化しはじめていたという。AKB関係者が語る。