「結局、地域が困っているのを大学は認識していただきたい」
――大学病院の中で行われていることがブラックボックスに包まれている。
「大学のマネジメントの問題なので、それは大学の中で対応してもらいたいというのが第一。ただ、その結果生じる問題が、県民の医療を受けられる水準にかかわるのであれば、それはきちんと対応してほしい。報道されたことは知っているし、そういう懸念があるのは事実なんでしょうけど、そうならないようにしてもらいたい。私も懸念している。報道を受けて、指摘されているような問題が生じないように、大学病院の中で対応してもらえると期待して、そうしてほしいという旨は病院に伝えました」
日本地域医療学会の理事長で、秋田県横手市の市立大森病院で院長を務める小野剛氏もこう危惧を示す。
「国立大学病院は、地域医療の現場では医師の供給源になっている。過疎地域では医師ひとりいなくなるだけで診療に大変大きな影響を及ぼす。腎臓の専門医が7人も一斉に退職してしまえば、過疎地域の病院への診療応援ができなくなって地域医療が成り立たなくなってしまうことが懸念されます」
大学医局内の内輪もめにとどまらず、結局、地域の住民が困ることになるという。
「どうも大学病院では権力争いが起きやすい感がある。それを嫌っている若い医者もたくさんいるためか、大学病院離れも進んでいるが、その結果、地域医療の担い手は一層減ってしまっている。結局、地域が困っているのを大学は認識していただきたい」(同前)
大学当局に、腎臓内科の医師が一斉に退職した後の地域の腎臓医療のサポート体制について問うと、「本件については回答を差し控えさせていただきます」と回答した。
現在配信中の「週刊文春 電子版」では、小誌報道の証言者の“犯人捜し”に奔走する島根大病院内の様子、伊藤医師が再三の公募による異例の教授選で“排除”され慶応大の医師が教授になった背景にあるとされる学閥の問題、病院内で問題視されている手術料の“キャッシュバック”の実態など、島根大病院で何が起きているかを報じている。
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