「ウミツバメッ…!」「ノミバッタ~!」「イベリアトゲイモリ!!」一体なんの声だろう、ポケモンの鳴き声だろうか? …いやちがう、生きものオタクの鳴き声だ。
ゲーム「ポケットモンスター」シリーズの新作が出るたび、私のような生きもの好きがザワめきだす。ポケモンの多くは実在の生きものがモデルなので、今回はどんな生きものがポケモンという超メジャー舞台に躍り出るのか興味津々。
「わ~ウミツバメ! 渋いね! あ、ついにバッタ来たんだ、しかもノミバッタ?!」などと我々オタクが早口で呟き始める光景は、夏を告げるセミの声のごとく、ポケモン新作シーズンの風物詩なのだ。
待望の最新作『ポケットモンスター スカーレット/バイオレット』(以下「ポケモンSV」)も例外ではなく、生きものファンに「祭り」が訪れている。そんなわけで生きものオタク視点からポケモンSVの楽しさを語り、“祭り”の楽しさをおすそわけしたい。
御三家ポケモン、キミにきめた!
まずは「御三家ポケモン」に注目しよう。御三家ポケモンとはゲーム冒頭でもらえる、主人公のパートナーを務めるポケモンの俗称で、「くさ・ほのお・みず」タイプの3匹から1匹を選ぶのが恒例だ。御三家ポケモンは必ずゲーム発売前に発表され、そのたび「かわいい!」「どれ選ぶ?」「今のポケモン、こんななんだ」「昔はよかった」など(多少荒れつつも)ファンは大いに盛り上がる。
そんな御三家ポケモンは作品全体の「顔」となるVIP(Very Important Pokemon)なので、制作陣も毎回「御三家のデザインをどうするか」「モチーフにどの生きものを選ぶか」には、かなりの熟考を重ねているはずだ。その意図を深く読み解こうとするあまり、勝手に「御三家ポケモン生きものリスト」まで作り出す面倒なオタクも現れるほどだ。私のことだが…。
さっそく今回の「御三家」を見てみよう。まず目を引くのは「ほのおワニ」ポケモン「ホゲータ」である(ちなみに炎タイプの爬虫類モチーフは意外にも初代のヒトカゲ以来)。
ワニとリンゴを融合させたような攻めた可愛さのポケモンで、今回の御三家グッドデザイン賞を勝手に贈りたい。