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東京で続々竣工する巨大オフィスビルは“国際交流拠点”となりうるか

2022/12/13
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 一時すっかり鳴りを潜めていた外国人観光客が戻りつつある。全国旅行割の恩恵を得て日本人観光客も大復活。国内の観光地はこの秋、外国人、日本人がごちゃまぜとなって各地でごった返し、コロナ禍がいまだ収まっていないことなどどこの国の話? と言わんばかりの大盛況となった。コロナ禍で苦しんできた宿泊観光業界にとってはようやく一息つくことができたのではないだろうか。

円安で外国人観光客からの人気上昇

 外国人観光客のお気に入りはなんといっても日本が誇る観光資源だ。豊かな自然と四季折々の風情。交通機関や宿泊施設などが整った社会インフラ。犯罪などが少ない社会的な安定性。ヘルシーな日本食。今や世界中の人たちが楽しむようになったONSEN。歴史や文化、アニメなどのポップカルチャー。

 こんな素敵で大好きなニッポンが円安だ。ただでさえ世界的に安かった日本の物価が円安で感動するくらいにリーズナブルになった。行かない手はないのだ。

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 日本にやってくる外国人にマスコミがマイクを向けると日本礼賛の嵐だ。「ニッポンすごいね!」と彼らから褒められるとなんだかすごくプラウドな気分になる。そうさ、世界に認められたニッポンがある。大谷翔平、知ってるよね? 今はサッカーだ。堂安が世界のドーアンになる日も近いかもしれない。ニッポンの活躍に世界が驚く。痛快だ。まだまだやれる。だってこれだけ世界中から褒められているではないか。

写真はイメージ ©iStock.com

不動産の世界でも大人気の日本

 世間ではそれほど知られていないかもしれないが、不動産の世界でも日本は大人気だ。ここ数年で東京をはじめ日本の大都市の大型オフィスビルを買っているのは外資系の不動産ファンドなどだ。多くのタレントを擁するエンターテインメント会社、エイベックスが所有していた東京青山のビルは、720億円でカナダの投資ファンド、ベントール・グリーンオーク(BGO)が買収した。BGOは日本国内で約1兆円の予算で不動産の買収をすると発表している。アメリカの投資ファンドKKRは、今年4月日本の不動産投資信託(J-REIT)の運用会社三菱商事・ユービーエス・リアルティの全株式を2300億円で取得し周囲を驚かせた。

 このほか香港のPAGは約8000億円で日本中の不動産を獲得することを表明している。彼らにとっては先進国の中で相変わらず低金利政策を続けるニッポンは格好のお客様だ。アメリカやヨーロッパとの金利差が開くほど為替は円安に向かう。彼らが狙う日本の優良不動産は勝手に安くなっていく。現地での資金調達でも日本は低金利で投資としては非常に有利な条件となる。彼らにとっても「ニッポンすごい!」は違った意味で現実だ。