「投資先」として羨望のまなざしを向けられる日本
巨大不動産ファンドばかりではない。都内のタワマン販売において、今や中国をはじめとする外国人は優良な顧客だ。アジア系の富裕層にとって日本は資産を持つには格好の国だ。何せ近い。年に何度も遊びに来られる。子女を日本に留学させ、通学のためのマンションを買う。自分が旅行する時に滞在する。友達に貸す。なんでもありだ。マンション業者からみてもありがたい客だ。彼らの多くは、個人としては日本国内でローンの調達は難しい。それでも大丈夫。多くの顧客は、とんでもない金持ちばかり。ポンと現金で買ってくれる。ローン手続きも必要ないし、彼らとの間をつなぐ業者もいるので言葉の問題もそれほどでもない。
外国人の不動産買いになると、なぜか多くの日本人は眉を顰める。北海道などの水源地を買われる、自衛隊基地周辺や原発エリア近辺を買収される、などは国防上、言語道断なので国はあわてて土地規制法を施行して、一定の制限を掛けたが、都内の優良不動産を高値で買っていただけるのは必ずしも悪いことではない。それでおおいに儲かったり、一息ついているデベロッパーや事業会社は多いのだ。
つまり観光や旅行だけではなく、投資先としても日本はいまや外国から羨望のまなざしを向けられているのだ。これはおおいに喜ぶべきことなのかもしれない。
日本でビジネスをするのはどのような外資系企業か
そんなに人気があるのなら、日本にやってきてオフィスを構え、日本でどんどんビジネスをする外資系企業も激増している、と多くの人が思っているかもしれない。だってこれだけ魅力的な日本、以前はJAPAN as No.1などと呼ばれたこともあったし、多少栄光に陰りが出たとはいえ、なんといっても世界第3位のGDPを誇るアジアの大国である。移民が増えることには賛成できないが、国内でビジネスを展開するソフィスティケートされたかっこいい外資系会社が陸続と進出してもおかしくないのではと考えても不思議ではない。
現に、東京都知事の小池百合子さんは、「東京はアジアの国際金融センターになります」と言っている。たしか安倍さんや菅さんもそう言っていた。今、東京ではどこもかしこもクレーンが林立して超大型のオフィスタワーの建設に邁進している。そしてこの中のどの開発計画を紐解いてみても、そこには判で押したように「世界と東京をつなぐビジネス拠点」だとか「国際交流ゾーン」「世界につながるビジネスゾーン」などの文言が並んでいる。
最近の開発の特徴は、高層階に国際的ホテルを誘致する。マリオットやヒルトン、ハイアットなどの外資系高級ホテルブランドの進出計画が目白押しだ。ブルガリ、ドーチェスター、ウォルドルフアストリア、なんだか聞いたことないホテル名(海外ではかなり有名)だけど、十分に高級そうだと想像できる。また低層部には国際交流拠点としての施設、国際会議を開催するためのホール、世界中のオペラやオーケストラを呼べる劇場、羽田や成田などの国際空港と結ぶバスターミナルの設置、インターナショナルスクールの誘致など、この計画で建物に滞在する人は全員が青い目をした外国人なのではと想起させるほどの内容だ。