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経済産業省による「外資系企業動向調査」の結果は…

 ではそんなに外資系企業は、観光客と同じように日本を礼賛し、次々と日本にやってこようとしているのだろうか。経済産業省では、毎年外資系企業動向調査を行っている。この調査では日本に進出している外資系企業の動向を拠点数や従業員数、売上げや利益、資産まで詳細に調査している。

 同調査令和2年(2020年)版によれば、2019年度で日本に拠点を構える外資系企業は2808社(有効回答数)。この数は前年に比べて14.6%の減少である。国籍別ではアメリカ系企業が607社の最多であるがその数はヨーロッパ系1197社も含めて減少傾向にある。アジア系は伸びてはいるものの822社。そのうち中国系が317社。中国系のシェアは徐々に上がっている。

 実は外資系企業の拠点数は2012年度には2976社もあった(同前)。アメリカ系は825社、ヨーロッパ系1313社であったのが今は大幅に拠点数を減らしているのだ。また国内のオフィスなどで働くことが期待される従業員数は2012年度で53.5万人であったものが2018年度では51万人に減少している。

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デベロッパーの想いと海外企業の考えには、大きな隔たりが

 どうやら超大型のオフィスタワーを開発するデベロッパーの思惑とは異なり、外資系企業が日本に続々やってくるシナリオはどうもポエムくさいのである。国際金融センターの構想も2000年初めくらいから叫ばれてきたが、いまだに実現できた形跡はない。実際に現在建物が完成し、テナントの入居が始まっている東京駅八重洲口の東京ミッドタウン八重洲のテナントをみても、住友生命、ダイキン工業、三井化学などの純粋日本ブランドの企業が中心だ。汐留シティセンターから移転する日本GLPは外資系だが、従業員数から類推すればビルのワンフロアにも満たない程度の面積にすぎない。またこの会社の社長は、ビルの事業主である三井不動産のOBだ。

 ところがこのビルで三井不動産が発表している施設コンセプトは「ジャパン・プレゼンテーション・フィールド ~日本の夢が集う街。世界の夢に育つ街~」であり、世界中・日本中から人や情報、モノ・コトが集まり、交わり、新しい価値を生み出し、世界に向けて発信していく街づくりを目指すという。現状ではデベロッパーの想いと海外企業の日本を見る目には相当の落差がありそうだ。