2015年に、“日本一安い遊園地”として知られる「前橋るなぱあく」(前橋市中央児童遊園)の園長になりました。入園料は無料、小型遊具は1回10円、大型遊具は1回50円の遊園地です。就任以来、様々な施策によって利用者を増やし、それまで年間の利用者数は120万人前後だったのですが、コロナ前は最大で171万人にまで増えました。20年も143万人を計上しました。
最初にここを見て考えたのは、「この遊園地が持つポテンシャルの高さを生かし切れていないな」ということでした。そのポテンシャルとは何かといえば、施設そのものと、もう1つはスタッフ、すなわち接客です。これは、接客ルールを設けるということではありません。「お客さんに笑顔で帰ってもらえる工夫をしてほしい。やり方は任せます」ということ。仕事を任せてもらえるのって、嬉しいし、やりがいもありますよね。
私はトップダウンが嫌いで、社員から色々なアイディアをボトムアップで集めています。また、園長として、毎日園内に出ています。現場を知らなければ何もできません。スタッフの動きや、置いてあるものの位置、草花の状態なども見ています。るなぱあくの中におむすび屋「マム」を作ったのですが、おにぎりはほぼ毎日自分で買って、味を確かめています。
他の遊園地と差をつける「情報収集」
最もインパクトの大きかった施策は、バースデーイベントでしょう。これは女性スタッフの提案から始まった企画です。るなぱあくでは、4歳になるとすべての乗り物に1人で乗ることができます。そこで、4歳児は誕生日から1か月間、全ての大型遊具にそれぞれ1日1回ずつ無料で乗れるようにしました。このイベントに参加する4歳児には「ばぁすでぃカード」を配り、乗り物に乗るたびにシールを集めてもらいます。
これが実は重要なマーケティングになっているのです。年齢はもちろんのこと、氏名、住んでいる地域、連絡先などを記入してもらうことで、データが蓄積されます。どの地域からの利用者が多いのかなどを把握し、広告を打つ時などに参考にできるのです。他の遊園地にも足を運びますが、うちほどの情報収集はなかなかできていないのではと思っています。