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 日本時間の午後8時15分。御所では愛子さまがテレビで国葬の生中継を食い入るようにご覧になっていたという。両陛下のお姿を映像でご確認なさろうとしたが、最後まで見つけられずに残念がられたというが、エリザベス女王の棺の上に置かれた王冠や、男性王族が持っていた錫杖にもご関心を示されたといわれた。

 愛子さまにとって、久しぶりにお一人で過ごされた時間だったが、皇后の体調を終始案じていらっしゃったという。

 国葬後、両陛下はレセプションにご出席された。マレーシア国王夫妻やトンガ王国、アジア諸国の代表と交流され、会場に少しでも長くいて、女王陛下を偲ばれることを望んだそうだ。

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 20日、国葬を終えてロンドン郊外のスタンステッド空港から政府専用機で日本に帰国される皇后の表情は、安堵なさっているように見え、関係者らに笑顔を見せられていた。

©JMPA

2023年、皇室は…

 この1年も両陛下の公務はオンラインが大半だったことから、国民と直接触れ合うことができる地方公務へのおでましが期待される。前述した「第77回国民体育大会」は当初、1泊2日の日程で国体の競技などをご覧になる予定だったが、皇后が海外訪問を終えたばかりということもあり、日帰りに変更された。

 両陛下はご自分たちが移動をなさることで、国民の人流などに影響を及ぼし、新型コロナ感染者を増やしてはいけないと常に考えられてきた。夏の静養も取り止められたり、愛子さまが大学の講義の大半をオンラインで受け続けるのも、そうした理由からだった。

 宮内庁の職員や皇族方にも感染者が出たこともあり、より慎重に感染者を増やさない、出さないことを強く望まれている。コロナとの徹底した向き合い方にも天皇家の姿勢が見えるようだった。

 一刻も早くコロナ禍を乗り越えて、国民と手と手を取り合える地方公務の再開が望まれる2023年となるだろう。

◆このコラムは、政治、経済からスポーツや芸能まで、世の中の事象を幅広く網羅した『文藝春秋オピニオン 2023年の論点100』に掲載されています。