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 さらに父親や母親の就労状況を「フルタイム勤務」「パートタイム勤務」「自営」と回答した家庭のうち、父親の職種を示したものが図3-6、母親の職種を示したものが図3-7である。

図3-6 父親の職種
図3-7 母親の職種

 父親の職種は、「管理職」「専門職」がそれぞれおよそ3割を占めている(それぞれ全体の30.5%、28.6%)。他方、母親の職種では「専門職」が4割以上(全体の43.7%)を占めており、「管理職」(同9.2%)と合わせると過半数に及んでいる。こうした年収水準が高いといわれる職種に就く親の多さも、家庭の世帯年収の高さに影響しているだろう。

 ただし彼らは直接的に子どもに相続・継承しうるような身分的地位や財産をもっているとは限らず、自らの職業的地位の根拠を「学歴や学校歴」と「専門的知識・技能」においている。その地位を世代的に継承(再生産)する手段として「学校教育」に着目し、より早期の段階からより確実に利用するために、小学校をあえて能動的に選択し、その結果として「受験する」家庭も多いのではなかろうか。

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親の学歴

 先ほど述べたように、一般的には、仕事の遂行に困難が伴い、かつ、高い技能を必要とする職業ほど高い賃金・所得を得る可能性が高く、そのためには「学歴」に代表されるような、高い教育水準が必要とされることが多い。

(1)最終学歴

 小学校受験家庭の親の多くは「専門職」や「管理職」といった職種に就いていることから(図3-6および図3-7参照)、彼らの最終学歴の高さも予想される。

 小学校受験家庭の父親の最終学歴を示したものが図3-8、母親の最終学歴を示したものが図3-9である。

図3-8 父親の最終学歴
図3-9 母親の最終学歴

 父親の最終学歴が「大学」の家庭がおよそ3分の2(全体の65.2%)に及ぶだけでなく、「大学院」の家庭もおよそ2割(同19.1%)を占めている。他方、過半数の(全体の51.5%)の家庭では母親の最終学歴が「大学」であり、「大学院」の家庭も全体の7.2%に及んでいる。

 調査対象児の親世代(1990年代頃)の大学(学部)進学率は30~40%であることから(図3-10参照)、小学校受験家庭の多くは両親ともに高学歴であるといえるだろう。

図3-10 高等教育機関への進学率/出典:文部科学省「令和3(2021)年度学校基本調査」を一部修正

 小学校受験家庭について、フリーランス・ライターの片山かおるは「夫婦ともに受験を勝ち抜いてきた高学歴夫婦である場合も少なくなく、小学校受験も、子供のためというより、親にとっての1つのチャレンジとしてプラスに受け止める傾向がある」と指摘している(『お受験』)。高学歴の親の中には、自らの受験経験が成功体験となっていることも多く、受験をポジティブに捉える傾向が強いのではなかろうか。