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 当時、神田さんは新人刑事のオーディションの審査員も務めており、“その”体型でオーディションに臨んだ渡辺さんに「キミ、受かりたかったらもっと(体重を)落としなさい」と言ったという。

「彼は顔もいいしお芝居も出来たから、このまま落とすのはもったいないと思って」と神田さん。その忠告に従ってダイエットし、最終審査会場を訪れた渡辺さんは見事合格を勝ち取り、弱冠20歳で国民的スターとなった。

弱冠20歳で国民的なスターになった渡辺徹さん ©共同通信

 その人気ぶりが窺(うかが)えるエピソードがある。’83年10月5日、日本テレビが破格の金額で、映画『スター・ウォーズ』(’78年)のテレビ初放送権を獲得。開局30周年記念放送と銘打って大々的に宣伝展開し、映画の始まる前にタモリさん(とC-3PO、R2-D2)MCによる前座番組も放送するほどの念の入れようだった。その主人公、ルーク・スカイウォーカーの声を渡辺さんが吹き替えたのだ。

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 俳優が外国映画やアニメの吹き替えをするのは今も賛否両論を呼ぶが、当時もやはり賛否両論が巻き起こった。さらにレイア・オーガナ姫を大場久美子さん、ハン・ソロ船長を歌手で俳優の松崎しげるさんが吹き替えを担当。とにもかくにも、“旬の豪華キャストを集めた”感は充分出ており、逆にいえば当時渡辺さんがそれだけの大人気スターだった証(あかし)でもある。筆者はβの3倍(テープ代が高かった)で録画したのだが、現在はデッキが壊れ、再生不能で悔しい思いをしている。

榊原郁恵さんと結婚。きっかけは…

 1987年10月14日、渡辺さんはドラマでの共演が縁で、人気歌手で女優の榊原郁恵さんと結婚した。

妻の榊原郁恵さん ©文藝春秋

 そのドラマとは日本テレビで放送された『風の中のあいつ』(’84年)と続編の『気になるあいつ』(’85年)という青春ドラマ。渡辺さんは主人公の新米医師・津村一平役を、郁恵さんは一平の働く病院の院長の孫で同僚の勝又梢役を演じた。

 天真爛漫で正義感の強い一平が病院内外で巻き起こす騒動を描く物語で、一平が勝又家に居候。梢との同居生活で始まる恋愛もようを交えて描かれており、このお二人のキャラクター通りの爽やかで楽しい、コメディタッチの青春ドラマとなった。

 二人は顔を合わせればケンカしながらも次第に惹かれ合う……という王道ラブコメっぷりだったが、当時、番宣番組に二人が出演。郁恵さんは「もうこの人、ひどいんですよー」と、そこで渡辺さんにダメ出しを。