また普段からことあるごとに「山口組の直系の組のNo.2秘書の知り合い」、「九州にいるとき、ストーカー被害に遭っていた女の男に、天ぷら油をかけた、だから九州には行けない」などと、怪しげな武勇伝を吹聴しており、元妻はそれを信じて石崎を恐れていたという。子供が産まれてからも、石崎は生活費を家に入れず、酒やギャンブル、女遊びにのめり込んだ。離婚の原因は石崎の浮気だった。
「子供と暮らしているアパートに浮気相手を連れ込んで、隣の部屋で性行為をする。普通の家庭で考えられることではない、本能をむき出しにした男だった。
離婚したのは、当時、私と子供と石崎とその浮気相手の4人で住んでいたアパートに、浮気相手の夫が乗り込んできたことがきっかけだった。その人に事情を話すと『あんた、それでいいのか』と言われて、私も我に返り、浮気相手の夫とふたりで役所に離婚届をもらいに行き、それぞれ離婚届を突きつけた。互いに離婚届の証人になった。(中略)
中学の頃から生きていても仕方がないと思っていたが、結婚と離婚でこれまでにないほどボロボロになり、離婚後は子供を石崎が引き取った。その後も首を絞められた恐怖などを思い出し、心が沈んでいた……」(同)
陰湿な嫌がらせも…「こんなことするやつは石崎しかいない」
Tさんの失踪が、当時まだ石崎による殺人だと判明していなかったころ、Tさんの妻は、夫のいない会社を家族や石崎、そして従業員らと切り盛りしていた。殺害後に石崎がTさんの兄や従業員、そしてTさんの妻に嫌がらせを続けていたことについて、Tさんの妻は「こんなことするやつは石崎しかいない」(調書より)と当時から冷静に見ていた。
「外出から自宅に戻ってきた時、自転車が隣家の敷地に倒れていた。起こそうとしたところ、フェンスが壊れていた。こんなことしていくやつ、石崎しかいないと思いながら自転車を起こした。石崎はお調子者で手癖が悪く、嘘つき。腐った果物を『これ、もらいものなんです、食べませんか』と持ってきたり、飲酒運転は日常茶飯事。
石崎は、財布から金を抜き取ったりもしていて、私もよく思っていなかった。夫がいなくなったあと、しきりに石崎が将来のことを語るようになったり、月に2~3万円置いていったりするようになったが、行方不明届を出して以降、突然態度が変わった。『俺がこんなにしてるのに、誰がお前の面倒見るんだ』、『誰とでも寝る女なんだろ、やってくれるんだろ』などと言い出したり、酔って自宅に来て大声で怒鳴ったりしていた。
自転車が停まっているのを知ってて、車庫に車を入れて自転車を壊したりするようなことを平気でする。そんな石崎なので、フェンスが壊れているのを見た時、こんなことするやつは石崎しかいない、と思ったわけです」(Tさんの妻の調書)
「金返せ」「死」などと家の扉にスプレーで書かれた元従業員は、被害を受けた家に住めなくなったため、取り壊して更地にしたという。
「なんの弁償もなく泣き寝入り。本来なら慰謝料を請求したいが、精神を病んで人と話すのが辛い。裁判にも行けない……」(元従業員の調書)