人口減少が進むニッポン。このところ、地方ではお客が少なすぎてとてもじゃないけれど維持できない、などというローカル線の話題が持ち上がっている。過疎化著しい地域では、大量輸送を旨とする鉄道はなかなか厳しい。

 ところが、都会に目を向けると何やら新路線の構想話で喧しい。つい先日も、東京都が新たに地下鉄を建設するという話がニュースになっていたし、大阪もなにわ筋線やら万博に備えた地下鉄の延伸やら。

 そんな大都会の新路線構想のひとつに、横浜市営地下鉄の延伸がある。延伸するのはブルーラインという、湘南台から上大岡・関内・横浜駅・新横浜といった横浜市内のいいとこ取りをしながらあざみ野駅を終着とする路線だ。それがあざみ野駅からさらに伸ばして、なんと横浜市を飛び出て川崎市に進出、小田急線の新百合ヶ丘駅を終着駅にしよう、というのが延伸計画なのだ。

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神奈川を駆け抜ける“ナゾの新路線終着駅”「新百合ヶ丘」には何がある?

 この計画はすでに横浜市と川崎市で合意されていて、2030年度の開業を目標に進めていくのだとか。つまりいまから8年後。時の流れは速いから、気づいたらもう目前に迫っているのだろうが、いまのところはまだだいぶ先といった感覚だ。が、まあともあれ景気のいいお話である。

 さて、そのブルーラインの延伸先の新百合ヶ丘駅。いまは小田急小田原線と多摩線が分岐するちょっとしたターミナルになっている。

 新宿方面からみて、小田原線をそのままいけば町田、海老名、本厚木。多摩線をいけば、多摩ニュータウンへと突入する。その分岐のターミナルにして、8年後に地下鉄もやってくるという新百合ヶ丘駅、いったいどんな駅なのだろうか。

「新百合ヶ丘」には何がある?

 新宿駅から新百合ヶ丘駅までは、快速急行に乗って20分ちょっと。いまやロマンスカーも停まるから、都心からもめちゃめちゃ近い。もう少し詳細に位置関係を現せば、登戸よりも郊外で町田よりも都心に近い、そんな場所に新百合ヶ丘駅がある。

今回の路線図。新宿からは快速急行に乗って20分ちょっとと都心からもずいぶん近い「新百合ヶ丘」
 

 快速急行のみならずロマンスカーまで停まるとなれば、だいたい駅の様子も想像できるというものだ。地上を走っている線路の上に立派な橋上駅舎が建っていて、人の流れに乗って南口に出てみれば、周囲をいくつもの大型商業施設が建ち並ぶショッピングゾーン。イオンシネマもあればホテルもあるし、イトーヨーカドーにOPAまで。

 ということは、それらの中には必要充分なお店が揃っているということになるから、“お買いもの”という点において新百合ヶ丘駅はまったく完成されているといっていい。にもかかわらず、駅から少し南に歩いていくと広い空き地に何やら建設中。どうやらスーパーマーケットのヤオコーができるらしい。まさしく充実一途の新百合ヶ丘、なのである。