小田急線に乗っていると、なんだかよくわからないけれどほとんどの列車が停車する駅がある。
小田急線の快速急行に乗ると、新宿の次は代々木上原、次いで下北沢、登戸、新百合ヶ丘、町田と続けて停車する。その間にもいくつも駅はあるのだが、ほとんどをすっ飛ばす快足ぶりだ。
ところが、町田駅を出て次はどこまで飛ばして走るのだろう……などと思っていると、ここではお隣の駅にすぐに停まるのだ。その名も相模大野駅。
相模大野駅は、小田急小田原線と江ノ島線が分岐する駅、という意味では交通の要衝なのだろうが、なんだかとてつもなく地味な印象だ。小田急線には他にも町田や海老名、本厚木といった名だたるターミナルがある。そんな中で、相模大野駅はどことなく他とは違うイメージを抱いてしまう。
どんな町なのか、どんな駅なのかまったく想像もつかないような駅なのに、快速急行を含めたほとんどの列車が停車する。あのみんな大好きロマンスカーだって、すべてではないが停まる列車も多い。小田急線ユーザーならば、いやおうなしに存在を意識せざるを得ない、相模大野駅。町田のお隣、相模大野駅。どんな駅なのだろうか。
「相模大野」には何がある?
というわけで、いつものように相模大野駅にやってきた。新宿駅からは快速急行で約35分。遠いようで、意外と近い相模大野駅、である。
そしてどんな駅なのか、それはだいたいは想像がついていた。きっと、大きな駅ビルがあって、駅前にも商業施設があって、人通りも賑わいもあるんでしょう。何しろ、相模大野駅は小田急線を走るほとんどの列車が停まる駅なのだ。それがちっぽけで何もない駅、などということがあり得るはずもない。
「まるで銀座である」
案の定、相模大野駅も「相模大野ステーションスクエア」という、無印良品にユニクロ、GU、ダイソー、ABCマートといったあらゆるおなじみ駅ビルテナントが勢揃いしている駅ビルがあった。駅ビルがあるというよりは、駅が駅ビルに覆われていて、その中に電車が突っ込んでいくというほうが正しいくらいに大きな駅ビルだ。
橋上の改札口からまっすぐ駅ビルの中の南北自由通路に向かって歩く。この自由通路は吹き抜けになっていて、太陽の光も差し込む明るい空間だ。相模大野の人々が集まる場所、待ち合わせなどもここでするのだろうか。