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ネットのアダルトサイトから歪んだ情報を集めた結果……

 たとえば、高校生の膣外射精に対する正答率は49・3%と半数を切ってしまっています。

 正しい知識を教えられることなく、インターネットのアダルトサイトなどから歪んだ情報を集めてしまう結果でしょう。私は20年以上、大学でセクソロジー(性科学)を講義するなど、学校性教育に携わってきましたが、人間は性について学べば学ぶほど、性行動は慎重になると実感しています。

 また、性器を含む自分のからだのこと、性的欲求のことなど、自らの性について正しい知識を学ぶことによって、自己肯定感が高まると確信しています。これは男子にも女子にも言えることですが、特に男子の性は科学的な学びの場から放置されてきました。そのため、「自慰行為をしすぎると死ぬ/バカになる」などの誤った情報にもとづく深刻な悩みや自己嫌悪、包茎や性器の大きさに関する誤解から生ずるコンプレックスを抱えている男子は少なくありません。

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 そこから生まれる性の偏見、思い込みは自己否定につながり、相手の性、人間の性そのものに対しても肯定的にとらえにくくなる。そのことと社会問題となっている性加害、性暴力、あるいはその反対に、恋愛や結婚など人との関係づくりを回避する傾向の増加とは無関係ではないと考えています。

「月経と健康の関係」についての知識は成人男性を含めて皆無

 性の学びは、お互いの性、ひいては人権を尊重することにつながり、よりよい人間関係を築くための土台になります。特に、男性が「月経(生理)」について学ぶことは、女性と対等な人間として向き合い、受け止めるために最も重要な学びの一つであり、互いに心の通い合う関係づくりに大きな影響をもたらします。前述した『「若者の性」白書』によると、高校生男子の場合、8割以上が「月経と排卵の関係」を正しく理解していませんし、月経痛や精神的・身体的不調が続くPMSなど、「月経と健康の関係」についての知識など大人を含めて皆無と言っていいでしょう。