「スクワットがうまくできなかったら、消灯後の真っ暗な居室で同期を肩車して練習したり、地道に腕立てなどもしてたんですよ。日々の訓練に耐えるには、やはり基礎体力が必要ですからね。でも、遠泳にしろサーキットトレーニングにしろ、私ら女子は速度は遅いけど持久力があって、めげなかったですね。でも『大丈夫です! 元気です!』って答えようものなら、『お前らなめてんじゃねぇ!』って余計厳しくなるんで、もうムリって顔をしてた方がマシだなんて思ったこともありました」(金野)
誰も諦めないのが「防衛大女子1期生」
防大生はおおむねスポーツよりも学業の方が得意だ。だが防大教育の3本柱といわれる、「教育訓練、学生舎生活、校友会活動」をこなすには、かなりの体力と気力が必要だ。防大生であるかぎり、体力勝負であることに男女の区別はない。
女子1期生は無類の負けず嫌いが揃っていたが、それでもさらに強い気持ちを持ち続けなければ、男子と同じ訓練メニューはこなせなかった。女がどこまでこの軍事学校でやっていけるのかと、彼女らは日々注視され、試されていたし、そのプレッシャーのほどは後の防大女子とは比べようもなかった。
「私たち女子1期生のバカなところは、訓練でできないことがあっても『しょうがないや』などと誰も諦めないこと。男子から『おまえらには無理だろう?』と言われると、とりあえず同じことができるようになるまで、どこまでも頑張ろうとする」(金野)
誰か1人が挫けると、「だから女子は」とバカにされた。上級生に注意されれば、消灯後の一室に何人かで集まっては声をしのばせ、対策を練った。
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