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登山で「昔とった杵柄」は通用しない

 登山では「昔とった杵柄」は通用しない。60代になったら、30代、40代のころに比べて体力は確実に落ちている。僕がパーティを率いるとき、50代の登山者は同じくらいの体力があるとひとくくりにできるが、60代は前半と後半に分けるし、70代以上はひとりひとりの体力や技術を知って、個別に対応している。今回のツアーは「帰着日時点で70歳以下」という条件で、参加者は55歳から69歳だった。不特定多数の人が申し込み、ガイドが参加者の力量を知らないツアーでは、バラツキをまとめるのが難しい。

 今回の縦走コースも、10年前の僕なら2泊3日で行くだろうが、64歳の今は、絶対に企画しない。3泊4日にすれば行程はラクになるが、その分装備も重くなる。平均年齢60代のメンバーと一緒なら、トムラウシ温泉からの日帰り往復登山で、トムラウシ山を楽しむだろう。そこで、

(2)高い山ばかりが山じゃない。

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 なにも縦走にチャレンジしたり「百名山」を踏破することだけが山歩きの楽しみではない。余裕をもっていける低い山にもいい山がたくさんある。僕は「ふるさと八百名山」として紹介しているので、ぜひ参考にしていただきたい。

写真はイメージ ©iStock.com

 次に、よい旅行会社の見分け方。

(3)旅行会社を「問診」してみよう。

 まず、いくつかの旅行会社から資料を取り寄せて見比べてみる。その際、「どんな方がガイドをしてくださるのですか」と質問してみよう。納得できるまで誠実に対応してくれるかどうかは、判断基準となる。同じようなツアーがあれば、お金を惜しまず高いほうを選ぶとよい。ガイドのレベルも高いことが多いし、添乗員の予算が潤沢に取られていれば、何かあったときに柔軟に対応してくれる。

 難易度の高い山への登山ツアーを申し込む前には、同じ会社が主催するやさしいツアーに数回参加してみること。旅行会社によっては「観光パック旅行に登山をつけて」程度の認識のところもある。山の危険を熟知した上で山の素晴らしさを知ってほしいと考えている旅行会社なのかどうかを見極めてほしい。ツアー参加者を必要以上に「お客様」扱いして、「佐藤様」「鈴木様」と声をかけてくるようなら、要注意。