2人の配達員がショップに売った「ポケモン」40本以上は1本あたり約6000円で30万円弱、さらに初回特典のポケモンカードなどの15万円を含めて合計は45万円ほどになる。しかもAさんによれば、2人の“内引き”には前科があるという。
「9月に発売した『スプラトゥーン3』でも、うちの配達会社で何本もソフトが無くなっているんです。ゲームは発売日前日に届けないように『期日厳守』というシールが貼られているうえに、重さも特徴的なのですぐにわかります。単価も高いので“内引き”の格好の獲物になっているのが現状です」
“同じ重さの土”を入れて返品する新手法も
結局、“内引き”をした配達員2名は退職処分となったが、Amazonへの報告はなされていないという。しかも近年は、“内引き”の手法が多様化している。
「最近SNSでも話題になりましたが、土や重りでAmazonをだます方法も増えてきました。Amazonは返品された商品を重さで確認しているので、購入した商品を抜き取って、同じ重さの何かを入れて返品すればすぐにはバレないんです。抜き取った商品は転売し、Amazonからの返金は懐に入れる。返品された商品が“新品”として他の購入者に届けられると、中には重りの“土”しか入っていないというからくりです。お客さんにもAmazonにも同業の配達員にも大迷惑ですよね」(同前)
発売直後に中古ショップやメルカリに並ぶ商品の中には“内引き”による商品が含まれていることもあり、商品を購入しただけの人が「関係者では」と疑われて警察から電話がかかってくる事例もある。
“内引き”があったという配達業者の社長に電話で話を聞くことができた。実際に内引きはあったのか、買い戻しの事実はあるのかなど聞いたが、「お話できることがあまりないというのが正直なところで……」と言葉を濁すばかりだった。
メーカーが魂を込めて作り、ユーザーが楽しみにする人気ゲーム。その配達を担う業者のモラル崩壊は社会にどんな影響を及ぼすのだろうか。