「ポケットモンスター」シリーズの最新作「スカーレット・バイオレット」が発売された11月18日、東京西部では「Amazonで買った商品が届かない」という悲鳴が続出していた。

 発売から3日間で、国内だけでも405万本以上が売れる「ポケモン」の新作となると、Amazonは配送業者に「発売日に必ず届けるように」と厳命することが多い。それでも多くの家庭に届かなかったのには、配送業者による“内引き”があったからだという――

11月18日に発売されたポケットモンスター・バイオレット

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「“内引き”というのは、配達員が商品を盗んでしまってお客さんに届かないことを指す業界用語です。絶対にあってはいけないことですが、Amazonの2次下請け、3次下請け業者にはモラルのない従業員もいて近年激増しています。特にポケモンのように高値で売れることが約束されている商品の時はひどいですね」

「正直バカなのかなと思いました」

 そう語るのは、自身もAmazonの下請けとして配達員をするAさんだ。Aさんが配達に入った会社でも、ポケモン新作“内引き”が大量に発生して大問題になったという。

神奈川にあるAmazonの倉庫 ©文藝春秋 

「内引きをしたのは、入社したばかりの23歳の2人の従業員でした。お客さんに届けるはずの40本以上のポケモンを盗み、リサイクルショップに売っていました。ビッグタイトルの発売日はみんな忙しいうえに、配達用の車には監視カメラなどもついていないので、たしかに盗むことは難しくないんです。ただそんなことをしてもすぐにバレるに決まっていますよね、正直バカなのかなと思いました」(同前)

 当然Aさんの会社には「ポケモンが届いていない」という苦情が殺到し、すぐに事態が発覚。“内引き”をした2人の従業員は「そんな荷物は最初からなかった」と報告したという。