俳優としてこれまで様々な役を演じてきた草彅剛さん(48)。主演作『ミッドナイトスワン』(20年)での演技が評価され、第44回日本アカデミー賞で自身初となる最優秀主演男優賞を受賞したことも記憶に新しい。

 1月16日から放送開始するドラマ『罠の戦争』で、実に6年ぶりに民放連ドラ主演を務める草彅さんに、俳優としての転機や過去の忘れられない出会いについて伺った。(全2回の1回目/後編を読む

草彅剛さん ©榎本麻美/文藝春秋

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「新人役者の頃に戻ったような気持ちです」

――現在は1月スタートのテレビドラマ『罠の戦争』の撮影中ですね。

草彅 久々に台本をめくってもめくっても自分の台詞だらけなので「こんなにあるの?」って感じですけど、ようやく慣れてきました。僕、インタビューの度によく「現場から早く家に帰りたい」とか話しちゃうので、その度にマネージャーに注意されるんですけど(笑)。そう甘えて見せるのも込みで本当は楽しんでいるんですよ。

――6年振りとなるカンテレ(関西テレビ)での主演ドラマですが、草彅さんとカンテレのタッグと言えば、過去2作の“復讐シリーズ”(『銭の戦争』(15年)、『嘘の戦争』(17年))や、『いいひと。』(97年)、『僕の生きる道』(03年)をはじめとした“僕シリーズ”など、これまでにも草彅さんの代表作と言えるテレビドラマを世に送り出してきました。

草彅 今回の三宅(喜重)監督は『いいひと。』からのお付き合いです。これまで何度もご一緒したスタッフの方々もいて。6年振りでも安心だし、それでいて久々のせいか新鮮味もあって。初主演で必死だった『いいひと。』からもう25年以上が経ちましたが、今回、三宅監督の前に立つと、不思議と新人役者の頃に戻ったような気持ちです。

©榎本麻美/文藝春秋

 最近、ずっとそんなモードですね。特にドラマが始まると毎日早起きだし、細胞が活性化されている感じで。そこからいろんなものを改めて拾い集めることで様々な役を演じられていると言うか。

――主役という、言わば“座長”にあたって意識される点は?

草彅 共演者には歳上の先輩から若いかたまでいらっしゃる。僕も先輩の立場になり先輩がたへのリスペクトを昔以上に感じますよ。

 同時に、僕は自分から何か教えるような柄じゃないけれど若い人からの疑問には惜しみ無く答えたいし。上下の世代の両方の気持ちが分かるという意味では、座長としてとてもいい時期にいる気がします。今回、「自分が現場の刺激になれたら」と初めて自覚的に思っているかもしれない。