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 その『マジカル頭脳パワー!!』やクイズ番組の解答者等で出演した飯島さんは、スタジオ袖から見ていて“勝ち負け”に関して貪欲だった。“勝敗”に関して異様なこだわりを持っていたというか。とにかく“勝ちたい”という執念を感じた。おそらく“ここまで来た以上、この芸能界で昇り詰めてやろう”という向上心の為せる業(わざ)だったのだろう。

 勢いに乗った飯島さんは、民放地上波ドラマにも女優としての活躍の場を拡げていく。古谷一行さん、木の実ナナさん主演のテレビ朝日系「土曜ワイド劇場」の大人気シリーズ、『元祖!混浴露天風呂連続殺人』シリーズの第17作目(’97年放送)にもメインゲストのひとりとして出演。

 この作品は土曜ワイド劇場20周年特別企画として放送され、事前の告知・プロモーションも大々的に行われた。その記者会見で飯島さんは、

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「あたしがこんな記念すべきドラマに出ちゃっていいのかな? と、思って。やっぱり脱いだ方がいい?」

 と(冗談で)言うと、傍にいた古谷さんがぼそっと「歓迎しますよ」と。記者一同の笑いを誘ったあと飯島さんが「出る以上は、みなさんにご迷惑がかからないよう一生懸命台本を覚えて視聴率も獲りたいと思います!」と宣言した。

 その言葉通り、飯島さんは休憩の合間中も台本をしっかり読んで、セリフを自分のものにできるよう何度も繰り返し呟いていた。その姿がじつに健気だった。

「この番組、偏差値の高い人が多いじゃん。あたし元々バカだから人一倍勉強しなきゃいけないと思って」

 すっかり市民権を得た飯島さんは『タモリのSuperボキャブラ天国』(’94~’96年)の常連審査員になった。

 何回か収録現場を取材したが、控え室や待ち時間に本を読んでいる姿をよく見かけるように。立場上、自分から声をかけることはしなかったが、どんな本を読んでいるかはなんとなく気になった。

©文藝春秋

 あるときスタッフのひとりが飯島さんに「また読んでますね? なんの本?」と聞くのを小耳に。慌てて耳をそばだてるが、残念ながら本のタイトルは聞き逃すものの、そのスタッフが「そんな難しい本? 分かるんですか?」とたずねると飯島さんは、

「あたしもよく分かんないんだけど、この番組、偏差値の高い人が多いじゃん。あたし元々バカだから人一倍勉強しなきゃいけないと思って」

 と明るく答え、「全然バカじゃありませんよ」とフォローするスタッフを尻目に、その飯島さんの言い方、決して嫌味はなく寧ろ彼女の勉強熱心さが伝わってくる言葉に好感を抱いた。