文春オンライン

“日暮里のそば打ち名人”が生み出した「純白の米麺」を豚バラたっぷりのつけ汁で…新食感「米切り麺」を食べてみた!

2023/01/03
note

「そしてもうひとつ重要なことが価格の安定化だ」と上中さんは指摘した。国産米の米粉を使えば、価格に影響されず流通的には十分供給できる。

 2022年2月にウクライナ紛争が勃発した。それ以前からロシアはそばの輸出を禁止していた。また、中国産のそばも青物野菜への補助金などにより作付けが減少し、足元をみるように値上げを続けていた。さらにこの紛争でそば粉も小麦粉も値上げが一気に加速した。

「そばを提供する立場からすれば、最近の値上げラッシュは本当にお客様に申し訳ない気持ちになる。安定化に寄与するために誰かがやらなければという挑戦する思いが強くなった」と上中さん。

ADVERTISEMENT

誰かがやらなければという挑戦する思いが強くなったと語る上中さん

想像を超える「米切り」の味

 食べたことのない「米切り麺」の味の余韻がしばらく続いていた。小麦を切って作る麺は江戸時代にはすでに「麦切り」と言われていた。そばは今でも「そば切り」とも言われている。第三の麺としての米粉の麺なら「米切り」というわけである。この呼び方が日本中に広がることを期待している。

 店主の上中さんの「米切り」に対する熱い思いと、想像を超える「米切り」の味を堪能して店を後にした。帰りながら「麺の艶がすごかったなあ……」と呟いて日暮里駅に向かったのだが、そういえば店の名前は上中さんのお母さんの名前「艶子(つやこ)さん」からいただいたと聞いたことを思い出した。

「そうか、この『米切り』の美しい艶(つや)はお母さんからの贈り物なのかもしれないな」と、ふと考えた次第である。もちろん、そばも十分にうまい。再訪必至である。

そばももちろんうまい「肉つけ全部入り」

INFORMATION

「蕎麦切り 艶(えん)」
住所:東京都荒川区東日暮里5-40-8
営業時間:月~金 11:30~14:00 
定休日:土日祝(2023年は1月4日から営業予定)

“日暮里のそば打ち名人”が生み出した「純白の米麺」を豚バラたっぷりのつけ汁で…新食感「米切り麺」を食べてみた!

X(旧Twitter)をフォローして最新記事をいち早く読もう

文春オンラインをフォロー